2005年08月02日

自転車で海へ行く約束を
こじらせた風邪のために断わって、
夏の一日を、部屋で過ごした。

太陽は順調に南中を過ぎて
そろそろ皆、海に片足を突入した頃かもしれない。


真っ青な空が
窓の外で光を放っている。

その分、
部屋の内側はうすく翳って
網膜に映る。

一分毎ににぶい音を立てる機械時計とともに
刻々と時が流れていく。

やがて
青い空に、
茜色が混ざり、
それでもまだ青色でいつづけている。

冬ならば辺りは真暗になっていていい時間だ。
それでも夏至の頃にくらべれば日が短くなった、
と彼女が云った。

日が落ちてから
用事を思い立って、
サンダルに自転車で駅前まで出た。

ほおにあたる空気に、
夏の宵を感じる。

夏休みの子らを連れた親が
そぞろ歩いている。

中年の男が老婆が。

スーパーの明かりに照らされた
ごくあたりまえの群像が、
宵宮の夜店に集う人々のように
華やいで見える。

その中を、
花火大会に向かう中学生のような
冴え冴えとした心地で
自転車で駆け抜ける。

投稿者 vacant : 2005年08月02日 23:59 | トラックバック
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