2008年07月31日

で、

『800字を書く力』(鈴木信一著)のあと、

6冊の本を買って

まず

『福田和也の「文章教室」』(福田和也著)

『文章の技』(中村明著)

『北村薫の創作表現講義』(北村薫著)

を読んだ。

北村薫は、ちょうど

『名短編さらにあり』『名短編ここにあり』を読んだ後だったので知っていた。


すると、

3冊目の北村薫の本に

天野慶

という二十歳そこそこの若い女性歌人が登場してきて、

そのくだりを読んでいたら

なんとなく現代短歌が読みたくなった。

どこで知っていたのか

穂村弘の

(という名前もよく知らない程度だったが)

体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ

という歌も

なんとなくアタマの片隅で気になっていた気がする。


で、図書館で

いろいろ借りてきた。


『会うまでの時間』(俵万智) ※俵万智ベスト盤

『ラインマーカーズ』(穂村弘) ※穂村弘ベスト盤

『詩歌の待ち伏せ 上』(北村薫)

『現代短歌一〇〇人二〇首』(小池光/今野寿美/山田富士郎 編) ※穂村弘が迫害されている

『現代短歌最前線 下巻』 ※穂村弘が自らへの迫害を自ら紹介している

『淋しいのはお前だけじゃな』(枡野浩一) ※長嶋有著『ぐっとくる題名』にも登場

『君の鳥は歌を歌える』(枡野浩一)

『恋する短歌』(佐藤真由美) ※天才

『ハッピーアイスクリーム』(加藤千恵) ※天然

『街角の歌』(黒瀬珂瀾)

『短歌をよむ』(俵万智) ※歌論書

『短歌という爆弾』(穂村弘) ※歌論書

『かんたん短歌の作り方』(枡野浩一) ※歌論書?!

『ドレミふぁんくしょんドロップ』(枡野浩一)

『石川くん』(枡野浩一) ※偉大な試み! 石川啄木の現代訳

『ショートソング』(枡野浩一) ※モノカキの自意識に赤面!

『かなしーおもちゃ』(枡野浩一選)

『ドラえもん短歌』(枡野浩一選)


・・・と読んできて、

このあと寺山修司と

『短歌の友人』(穂村弘) ※2008年 第19回 伊藤整文学賞・評論部門受賞

を読もうというところ。


・・・


半年くらい前

フジモトマサルの回文やなぞなぞを読んでいたときには

想像もしなかった

現代短歌

の言葉づかい

とのであい。

投稿者 vacant : 02:58 | コメント (102)
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2008年07月20日

(つづき)


「読め」れば、「書け」る。
「読め」なければ、「書け」ない。
ひとことでいえば、それがこの著者の論旨です。

鈴木信一氏の続刊を、
あるいは授業を受けてみたい。


読み終えて数日後、
ぐうぜん神保町の三省堂にいた私は、
「文章」コーナーの本を
片ッ端からレジに運んでいました。
(苦笑)。。。


ひきつづき、
ラスト近くの練習問題を引用させてもらいます。


・・・


(鈴木信一『800字を書く力』祥伝社新書 より引用)


 この本のまとめとして、読解問題を三つ用意しました。いずれも「文と文の関係を探る目」を養うことが目的です。ぜひやってみてください。

〔問題十二〕次に挙げるのは、「海岸通」という歌の歌詞です(ただし、傍線は設問のために加えた)。よく読んで、あとの問いに答えなさい。


海岸通  伊勢正三

あなたが船を選んだのは
私への思いやりだったのでしょうか
別れのテープは切れるものだとなぜ
気づかなかったのでしょうか

港に沈む夕陽がとてもきれいですね
あなたをのせた船が小さくなってゆく

夜明けの海が悲しいことを
あなたから教えられた海岸通
あなたの言うとおり妹のままで
いたほうがよかったのかもしれない
あなたがいつかこの街離れてしまうことを
やさしい腕のなかで聞きたくはなかった

まるできのうと同じ海に波を残して
あなたをのせた船が小さくなってゆく


問一、「別れのテープは切れるものだとなぜ 気づかなかったのでしょうか」とあるが、(a)「気づかなかった」の主語を文中の言葉で答えなさい。(b)また、この傍線部はどういうことを言っているのか、よくわかるように説明しなさい。


・・・



2008年07月19日

6月のある日、
書籍売り場で
ふと足が止まった。

平積みの新書には、なぜか文章の書き方に関するものが
目につくほど多い。

それらの何冊かを
いつのまにか、吟味するように
立ち読みしているうち、
ある一冊に引き込まれた。
そして、買った。
引きずり込まれるように、読んだ。
作者は、まだ新しい、検索してもこの本しか出てこないような
無名の人。

これだけ生きてきてなんですが、
目から鱗が落ちた本、
鈴木信一著『800字を書く力』をご紹介します。


・・・


(鈴木信一『800字を書く力』祥伝社新書 より引用)


個々の文を頭に放り込んで、読んだことにしてしまう。


《昨日は一週間ぶりに晴れた。僕は友人と一日中外で遊び回った。夜になって発熱した》

 何が書かれてありましたか。いや、ずばり聞きましょう。「僕」が「一日中外で遊び回った」のはなぜですか。
“昨日は待ちに待った晴れの日だったから、うれしくて遊んでしまったわけでしょ?”
 たとえばこんなふうにすぐに答えられた人は、読めた人です。言われてなるほどと思った人は、読めなかった人です。教育の現場に出ていますと、このことを読み取れない生徒がじつに多くいることに気づきます。
 読めた人と読めなかった人では、何が違ったのでしょう。
 読めた人は、事柄よりも、それがどういう論理で結ばれているかに関心が向いたのです「晴れた」や「遊び回った」ではなく、「一週間ぶり」や「一日中」に重きを置いた。つまり、読める人というのは、文と文をつなぐ言葉(次の文の波線部分)を補う癖がついているのです。

《昨日は、一週間ぶりに晴れた。(だから、うれしくて)僕は友人と一日中外で遊び回った。(しかし、それがたたったのか)夜になって発熱した。》

 一方、読めない人というのは、事柄だけが了解されればそれでよしとします。「晴れた」「遊び回った」「発熱した」という情報だけを、漠然と頭に放り込む。それで読んだことにしてしまうわけです。
 誤解のないように言っておきます。読むということは、言葉と言葉(文と文)の関係に気づくことです。つまり、隣り合った文と文の因果関係を探ること——、これが読解の第一歩ということになります。事柄をいくら仕入れても、論理に目を向けないなら読んだことにはならないのです。
“そんなこと当たり前のことじゃないか”と思った人がいたかもしれません。しかし、ちょっとした文章ならともかく、込み入った文章を読むことを求められると、この原理を踏み外す人は必ず出てきます。


・・・



2008年07月01日

MOBILE ART IN TOKYO -CHANEL CONTEMPORARY ART CONTAINER.jpg


MOBILE ART IN TOKYO -CHANEL CONTEMPORARY ART CONTAINER by ZAHA HADID展

2008年05月31日 ~ 2008年07月04日
国立代々木競技場 オリンピックプラザ特設会場
入場無料
www.chanel-mobileart.com/


■ココ・シャネルの脳内クルーズ

6月7日土曜日、

もうチケット無いのは知ってたけれど

代々木公園のHASHIYAでお昼を食べて公園を散歩して日も沈んだあと

会場入口に寄ってみたら、

「並べばキャンセル待ちで30分以内には入れますよ」って

慇懃でさわやかな男性スタッフに言われた。

なんだ、ラッキー。


このイベントのことは、たまたま知人から教えてもらうまで知らなかった。

前宣伝とか、していたんだろうか。

ひごろ雑誌もテレビもあまり見ないので仕方ないかも知れないけど。

(その後、ブルータスか何かの表紙を飾ってた。)


銀色の扁平なアンモナイトのようなかたちの会場に入ると、

首からはMP3を、

耳には耳掛けヘッドホンを装着するよう、慇懃でさわやかな女性スタッフの指示をうける。

MP3から聞こえてくる『さあ、立ち上がってください』の声にしたがって

一人ひとりばらばらに、時間差でスタートしていく。

なんだか、ディズニーランドのジャングルクルーズがスタートしたような心地。

ここから先は、スタッフの案内も無く

耳からの指示だけを頼りに会場をめぐっていく。


MP3を使ったこの仕掛けは、

単純だけど、面白いアイデア。

美術館とテーマパークの融合。

昨今の、「なんかわけわかんないもの見せてくれるテーマパーク」として機能しつつある現代アート展覧会に、

とってもマッチしたアイデア。

前回の横浜トリエンナーレとかでも活かせたアイデアかも。

このような、

「展覧会⇒テーマパーク化」のアイデアは、これからもいろいろ出てきそうな予感する。

※いまネットを見たら、このアイデアは

ステファン・クラスニャンスキ(Stephan Crasneanscki)というアーティストの有名なアイデアなのだとか。

寡聞にして不勉強也。


今回のこの展覧会は、

仕立てとしては、

シャネルというクリエイティブの発想の源を探検していく

「脳内ツアー」といった趣きだった。

世界を巡回する特設会場の外観も、なんだか銀色の脳ミソみたいだったし。

(だれかの脳に入るなんて、マルコヴィッチの穴みたいだ。)

耳元でささやいていた老婦人の声は

「オノ・ヨーコじゃない?」と、帰りに連れが教えてくれた。


参加アーティストは・・・、

「ニッポンの満員電車」からはるかソフィスティケイト(≒抽象化)された地平までやってきた

田端の妹

(「デビューアルバムや単行本第一巻を思い出す感慨」に近い感情をふと抱く・・・)

をはじめ、

多彩な顔ぶれ。

ダニエル・ビュレンって、第2回横浜にもいましたね。

ラスト近くにあった「事情により参加できない」というアーティストのことも気になった。

(代わりに3枚の絵はがきを受け取る。)

ギャラリー小柳さん、あれは何だったのでしょうか。


というわけで、

これだけの展覧会が、入場無料・・・。

しかも世界7都市をパビリオンごと巡回する。

(それでも入場無料・・・。)

シャネルの並々ならぬ「脱・陳腐化」の心意気が感じられる

すさまじいイベントだと思いました。


会場を出て、

とっぷり日の暮れた表参道を歩く。

ひしめきあうように居並ぶメガ・ブランドの店舗のなかで

今日は、シャネルというブランドが

いちばんクールに見えた。


広告は成功した。