January 09, 2006

珍しい小動物から学ぶ六法全書

新宿三丁目、全身静脈硬化、26時34分。

洋行帰りに偶然出会う。

「知ってるか? 深沢が地元に戻るって」
いや。
「家業を継ぐそうだ」
奴の家は酒蔵だって聞いていたから、いずれそうなるとは思っていたが。
「杜氏になるのさ」
羨ましいね。

深沢にはよっつ年下の女がいた。
北海道の場所も知らない、という甚だ評価に困る女ではあったが、お陰で深沢は迷うことなく実家に戻れる。
この時点で、深沢が例の地理的障害を持った女を両親の元に連れて帰るという選択肢を想像していない。

「お前はどうするんだ?」
それは実家に帰るかって意味か?
「そうだ」

先生、ほら大銀杏が取れてますよ。先日の名古屋場所は大変でしたね。
「・・・」

茶を濁しつつ場を去るまでには数時間を必要とした。
洋行帰りの巨体には日本的曖昧さは通じないようだ。

投稿者 yoshimori : January 9, 2006 11:59 PM | トラックバック
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