June 19, 2006

『突き当たりを左』

内藤新宿、中華料理店にいる。
既に着席している、髪ががっつりと濡れた中年男性と同席。

メニューも見ずに瓶ビール、水餃子を注文。
中国系従業員は注文を繰り返すことなく厨房へ向かって母国語を叫ぶ。

髪濡れ男が規則的に口へと運ぶ、もやしかニラか何だかの炒めものが旨そうだ。
旨そうだが、髪は濡れ過ぎている。

髪濡れ、煙草をくわえているが、なかなか火をつけない様子。
火を要求されたら拒否してしまいそうだが、いつの間にか手にしていたライターを用いている。

後から来た客は、濡れた髪の中年男性を見たら何と思うだろうか。
自ら浴びたか、私が口論の果てに掛けたと思うだろうか。
雨は降っていない。

少し怖い。

(了)

投稿者 yoshimori : June 19, 2006 11:58 PM | トラックバック
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