February 15, 2007

"TRUE LOVE (1992)"

若いのをふたりばかり与えられ、馬車馬のように働かす。
缶コーヒー一本で懐柔したつもりが、奢らされただけという気がしないでもない管理職。

「何か楽器とかやってますか?」
全然。

「さっき僕ら話してたんですけど、実は僕ドラムやってて、彼がベースなんですよ」
ふーん、ギターがいないね。

「そうなんですよ。あー、バンドやりたいなあ」
俺を見るな。

「ギター弾いてくださいよ。弾きたくないですか?」
えー、そういうの20年前に挫折したからもういい。

「僕、教えますから」
何を?

「コードとかいろいろ。あ、あとステージングも」
弾けないのに、いきなり何を要求するんだ。

「どうしてもダメですか」
他を当たってくれ。

「・・・ぶっちゃけ、立ってるだけでもいいんですけど」

それは何だ、何の集まりだ。
エアギター以下だな、俺のポジション。

(了)

投稿者 yoshimori : February 15, 2007 10:26 PM
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