October 01, 2007

『遺恨 or Die』

「異論もあるだろうが、とりあえず頼まれてはくれないかな」
嫌です。

「とりあえずだからさ」
嫌です。

「どうしてもかね」
どうしてもです。

「うーん、如何ともしがたいな。理由を聴かせてくれないか」
嫌です。

「理由も言えないのかね」
言えません。

「何故だね」
嫌だからです。

「これでは堂々めぐりじゃないか。じゃあこうしよう、これは命令だ、やりたまえ」
命令とあれば仕方ありません、やりましょう。ただし、遺恨は残りますよ。それでもいいですか?

「む、遺恨か」
ええ、遺恨は残ります。私が嫌だと主張したのに聴き入れられなかったわけですから。

「むう、そう言われると頼みづらいな」
それではやめましょう。その方が明日からも遺恨なく仕事ができます。

「では誰がこの仕事を引き受けるんだね。君以外に誰もいないのだよ」
ご自分でおやりになればいいんです。

「わたしがかね」
ええ、部長ご自身が。

「わたしにできるだろうか」
部長の仕事はあれですか、自分にできない仕事を部下に押し付けることですか?

「違う」
では可能なはずですが。

「分かった、わたしがやろう」
よかった。じゃあ私はこれで。

「ああ、ご苦労さん」

翌日、部長は痛ましい姿で総務の女の子に発見される。
あの時、引き受けるべきだったのだろうかと今でも後悔している。

(了)

投稿者 yoshimori : October 1, 2007 11:59 PM
コメント

やはりどこの会社に行っても見かける風景です閣下。
そのままのしてしまってください。

いっそのこと蝋人形にしちゃってくださいよ、閣下だし。

Posted by: hyde先生 : October 3, 2007 12:18 AM

ふはははは、お前も蝋人形にしてやる!

Posted by: 小暮 : October 3, 2007 09:56 AM
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