July 12, 2008

◆『寄ノ席』

前日の痛飲から一睡もしないままに家事なんてぇこなしますってぇと、睡魔なんてぇ何処吹く風ってなもんで、用も無くがら空きの週末に気付くんですな。

で、新宿末廣亭、昼の部で御座います。

落語■柳家 権太楼 「代書屋」
「・・・露店にて饅頭商を営む、と」
「いやそれが、ショバ代高くてそれはやってねぇんだ」

落語■入船亭 扇橋 「道具屋」
「そのタコ(ステテコ)見せてくれ」
「タコ? あー、弾が当たって名誉の戦死~♪」

お仲入りで御座います。
「本日は浅草演芸ホールへお越し頂きありが・・・大変失礼致しました。只今のご案内は、前座のやいばでございます」

津軽三味線■太田家 元九郎
津軽アイヤ節、十三の砂山、津軽じょんがら節~春夏秋冬(リスト作、ラ・カンパネラ含む)。

落語■古今亭 菊丸 「子褒め」
「初七日かい?」
「この野郎、お七夜ってんだ!」

夕立な雰囲気になって参りました。

物まね■江戸家 子猫
子猫、「リクエストをどうぞ」なんてぇ客席に問い掛けるんですがねぇ、
「蝸牛(かたつむり)」、「蚯蚓(みみず)」、「土竜(もぐら)」なんてぇ、意地が悪いんですな。
「鶯(うぐいす)」との声に、「まずはうぐいすから始めさせて頂いて、時間があったらかたつむり、みみずと続けましょう」と逃げますな。

「鶯」・・・云わずと知れた「ホーホケキョ」
「不如帰」・・・「ホトトギス」と聞こえますな。
「ホオジロ」・・・昔から「一筆啓上仕り候」なんてぇ啼くらしいんですがねぇ、どちらかと言うと「サッポロ一番味噌ラーメン」と聞こえますな。
「鵤(いかる)」・・・意味は無いですが「お菊二十四」と啼きます。

鈴虫、松虫の違いを啼き分けた辺りで、夕立と雷が。
「雨が降って来たんで、最後にかたつむりをやります」

ちっ

「有難う御座いました」
えー?

落語■古今亭 志ん橋 「不精床」
「瘤に当たったらそのまま落としちゃえ」

落語■柳亭 市馬 「山号寺号」
山形高校に招かれた市馬師匠、与太郎噺を始めると、「おぅ、与太郎じゃねぇか」なんてぇ第一声だけで場内割れんばかりの爆笑。
「後で訊いたら、校長先生の名が高橋与太郎ってぇいうんですよ」

市馬師匠、「考え落ち」の例を挙げますな。
侍の帯が緩むってぇと、挟んだ印籠が落ちて、茶店の主人、「食事はいかがで御座いますか」と、帯が緩んだのは空腹だろうってぇことらしいんですがねぇ、説明が要るってぇのは面倒なんですな。

続いて「トントン落ち」
金毘羅の祭の日付を尋ねる男、小僧より「五日六日」と教えられ、得心して店を後にするってぇと、間違いを正された小僧、男を追い駆けますな。
「もし、もし、五日六日の方、五日六日!」
「なんかようか」
「九日十日」

太神楽曲芸■翁家 和楽社中
毬の曲芸に始まり、ナイフ投げに。
「ナイフ投げの間に和助を立たせます」
「僕ですか?」
わざと大きめサイズのナイフなんてぇ落としてみたりして、ドギー&マギーてなもんです。

昼主任■柳家 小満ん(古今亭 志ん輔:代演) 「塩原多助~四つ目小町」
昌平橋より身投げ未遂の多助、炭屋へ奉公と相成り、或る日盲いた女乞食が訪ねてくるてぇと、実は多助を殺めようとまでした継母の亀。
多助は水に流して亀を引き取り、近所でも評判となるんですな。
大家の娘、花に見初められ嫁入りと相成ります。
「本所に過ぎたるものあり、津軽大名、炭屋塩原」

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二階席から階下の桟敷席へ移動しますな。

入れ替え無しでの夜の部で御座います。

前座■三遊亭 たん丈 「出来心」
「下駄を忘れた」

落語■三遊亭 亜郎 「動物園」
出囃子が鳴るってぇと、これが『ボレロ』なんですな。
ブラックライオンvsホワイトタイガー、どちらも雇われたバイトくんなんですな。

民謡■柳月 三郎
「すぐ終わりますから」なんてぇ、じょんがら節を爪弾き爪弾き連呼し、弾き終えるってぇと、「はい、終わりました」と去ってゆくんですな。

代演■橘家 文佐衛門(林家 彦いち:代演) 「道潅」
「あたしの名前、番組表にはありませんよ。彦いちが悪いんですよ」
人を喰った態度の八五郎、腕掻きの仕草がリアルで怖いんですな

落語■三遊亭 丈二 「レンタル・ヒデオ」
目に優しくない青い羽織で登場ですな。
マクラでは、川崎出身なのに「小田原丈」なんてぇ前座名を付けられて難儀したってぇはなしですな。

実はレンタルされていたというヒデオ返却期限はとうに過ぎていると母親から告白されるんですな。
「レンタルヒデオ、消えないように爪は折ってあります」

漫談■ひびき わたる
煙管漫談なんてぇカテゴリーがあるのか不明ですがねぇ、相撲審議を演ってみたりと忙しい芸風なんですな。

落語■三遊亭 歌之介 「勘定板」
いわゆる、はばかり噺なんですな。
全国区ではブースん中にに便座がでんとあるってんですがねぇ、遠方の島では海に「勘定板」なんてぇ板っきれを浮かべるってぇと、そこで用を足すんですな。
島の者が品川まで観光に来るってぇと、勘定板がねぇってんで、宿の若い衆に頼むってぇと、「勘定」と勘違いし、算盤を持参致します。
「それはどうやって持ってゆくんだ?」
「ええ、まあ、懐に入れて」

落語■夢月亭 清麿 「東急駅長会議」
西武は死んだなんてぇ危険な発言も飛び出す、新しい「鉄道落語」
各駅しか止まらねぇってんで、多数決で急行駅と入れ替えが決まりますな。
で、東急の日、つまり十月九日、一日っきりの入れ替えの日、地方在住の方をどスルーした東急東横線のマイナーなはなしが続くんですな
菩提寺にゆくってんで、老夫婦が急行祐天寺を目指しますんですがねぇ、目的地に到着するってぇと、夫は既に他界してるんですな。
「祐天寺でお爺さんも止まる」

太神楽曲芸■鏡味 仙三郎社中
毬と傘の曲芸から笊に続くんですがねぇ、一枚落としちまいますな。
後でみっちり小言なんですかねぇ。

落語■柳家 小ゑん 「フィッ」
第五の感情なんてぇ、短編SFみてぇな設定なんですな。

落語■川柳 川柳 「ガーコン」
「こんばんは、福田総理です」なんてぇ、川柳師匠確かに似てますがねぇ、眼鏡だけじゃんってぇ意見もありますが。
血管が切れそうな軍歌歌唱と口ジャズ、最後はエアー脱穀機を操ります。

本日二度目のお仲入りで御座います。

くいつき■三遊亭 白鳥 「アジアそば」
インド人が経営する日本蕎麦屋、従業員がイスラム教徒だったりするってぇと、同業者から、「お前そんなネタ演ってたらいつか殺されるぞ」と諭されるんですな。
「さすがは蕎麦屋、手打ちがうめぇや」

漫才■昭和のいる・こいる
「一本で締めましょう」なんてぇので、一本締め。
ひとりで盛り上がってるのを醒めた目で見ている相方に、「向こう行けよ」なんてぇ邪険にされるってぇと、「嫌だよ、金払わなきゃいけないし」

落語■林家 しん平
『桃のふくらみ』なんてぇ番組を録画しているのを公表してますな。
グラビアアイドルがどうとかってぇ説明してましたがねぇ。
時代劇漫談ってぇ内容で、桃太郎侍、月光仮面、暴れん坊将軍のエピソード、突っ込みどころ、殺陣をリズムよく流してゆきますな。

落語■春風亭 一朝 「看板の一(ピン)」
賽の目博打で看板の一に賭けさせるってぇと、笊ん中は五(ぐ)なんてぇ技を使おうとするんですがねぇ、所詮は付け焼刃、上手くゆくはずもないんですな。
「あっ、中もピン」

紙切り■林家 正楽
「相合傘」に始まり、「夏祭り」、「朝顔」なんてぇ時節柄を切り抜きますな。

夜主任■三遊亭 圓丈 「薮椿の陰」
コモンロールの巨大犬が一家の前に現れるってぇと、離れ離れだった親子がひとつになるってぇ、人情噺なんですな。
「圓丈、愛犬シリーズ、『薮椿の陰』での一席で御座います」

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般若湯、般若湯とうわ言のように呟きながら、七時間座りっぱなしのカラダを持ち上げるってぇと、呆れるくらいの人いきれに紛れてゆきまして、いつもの土曜日で御座います。

(了)

(工期満了)

投稿者 yoshimori : July 12, 2008 11:59 PM
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