March 11, 2010

『三月中席(初日)~敦盛記』

あつもり、なんて云うと、熊谷次郎直実に斬首された平敦盛の悲劇なる幸若舞の演目を連想しがちだが、ここでは「脂そば」というおっそろしく高コレステロール高カロリーな品目のヴァリエーションとしての「冷たくない麺」を指す。

券売機より食券を購入し、トッピングとしてキャベツせめてもの保険としての温野菜を追加購入。
鏡張りの扉を押し開けると、店内は混み合っている様子
狭い厨房を三人の老若男女スタッフが右往左往している。

「お好きな席にどうぞー」
あ、はい。あつもりでお願いします。

「にん~げん~ごじゅうね~ん」
敦盛じゃありません。

にんにく入れますか?」
がっつりと。

8分経過。

「お待たせ致しましたー。脂そばキャベツトッピングです」
あ、はい。

大量の麺の上には、背脂らしきラード物質、裏路地で背後から引き裂かれたような豚の肉片、踊る鰹節、ざく切りされた長葱、湯通しされたもやし、丼の縁に二枚の焼き海苔

箸を持つ。
丼を左手で持って麺を混ぜる。
左の掌に温度を感じない。
・・・。
これ、あつもりじゃないよう。(涙)

「にん~げん~ごじゅうね~ん」

(了)

投稿者 yoshimori : March 11, 2010 11:59 PM
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