August 18, 2010

『八月中席~虎渓三笑』

遠雷の光陰を肴に三味の音ェ聴きながら手酌杯一飲っておりますてぇと、時折り縁側よりつーっと流れる微風に煽られ、(無粋な銅器でできた釣鐘型風鈴でござんすが)ちりりーんと鳴りまして、残暑続きながらに涼しげな心持ちがしねぇでもないですなァ。
やがて音は三階節に替わりまして、そのぴしゃりとはまった詞に膝を打ちつつ、思わず呻ってみたりもするンでござんす。

♪米山さんから雲が出た 今に夕立が来るやら ぴっからしゃんからどんからりんと音がする♪

この唄ァ中越は柏崎の民謡でげしてねぇ、「米山甚句」、「柏崎おけさ」と並び三分すると聞き及んでおりまさァね。
この米山(よねやま)、低い標高ながらにも旧くから北陸道のらんどまーくとなっておりまして、美しい四角錘のその偉容は日本海に裾野を洗わせ、「越後富士」の異名で呼ばれておりますな。

亡くなった八代目の三笑亭可楽師匠が吝い屋噺、「味噌蔵」ン中で奉公人の泥酔演技で吟じておるのが印象的でしたぃ。

♪よねやまァさんからァくもォがでぇたァとくらァ ぇいんやんやんえんややえんよぉんらいえんるるぅ♪ ・・・へぶしっ(くしゃみ)

なんて、後半の聞き取りがほぼ不可能なくれぇに愚図愚図なんですなァ。

稲妻とほろ酔い、奇跡のまりあーじゅなんてんで、今宵はこの辺でお暇をいただきます。

(涼)

投稿者 yoshimori : August 18, 2010 11:59 PM
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