October 06, 2010

◆『十月上席~亭号家号』 (第壱回)

本日ァ勝手に云ってるだけですが、三夜連続落語会の初日でござんす。
久方振りに乗る日比谷線でした。

『中目黒寄席 第100回公演』
@上目黒二丁目・中目黒GTプラザホール

瀧川鯉ちゃ◆薬罐(やかん)

「鯉ちゃと申します」
「何でこんな芸名を付けられたかというと」
「入門時、師匠のおうちを訪ねた際にお茶を持参したんですね」
「で、そのまんま付けられました」

「茨城にある小学校の学校寄席に行って参りました」
「全校生徒、全学年の生徒さんの前で一席演るんです」
「全校って云ったって、一年生から六年生まで合わせて100人くらいなんですけど」
「で、後日こちらの学校の先生より小包が届きまして」
「何だろうてんで開けてみますと、生徒さんの感想文なんですね」
「芸人にとっちゃァ有難いことですよ」
「これを読み始めますと、最初は低学年の女の子でした」
「『何か顔色の悪そうな人が出てきたと思ったら、喋り始めるとうるさかった』」
「次は男の子です。この子は六年生でした」
「『寿限無をやっていた』、最近の子はテレビでみんな寿限無知ってますからね」
「『僕の知ってる寿限無とは少し違うけれど、こなしてるなと思った』」

<本編>
「無学者、論に負けずで御座ィます」

入船亭遊一◆目黒の秋刀魚

<本編>
「余は秋刀魚が恋しい、嗚呼さんま、さんまに逢いたい」
「なんてさんまに恋焦がれまして、昔の大竹しのぶみたいに」
「って古いですね、教わった通りに演ってるだけなんですが」

「何、日本橋で買い求めたと申すか。房州の産とな。むぅ、矢ッ張り秋刀魚は目黒に限る」

瀧川鯉昇◆二番煎じ

「つい最近まで夜なのに三十度を超える日もありまして」
「とても寝てられませんでしたね」
「暑くなる前は、六月ぐらいでしたか、深夜にテレビでサッカーなんぞ映(や)っておりまして」
「あれはワールドカップと云うンでしょうか、あまりよく知らないンでして」
「22人の男たちがひとつのボールを奪い合うという大変貧しいスポーツなんですが」
「丁度家に帰ると映ってまして、つい観てしまい、これで気が付くと朝だったりしまして」
「やはり眠れない日々を過ごしてたわけで御座ィます」

「先日、映画監督の平山秀幸さんにお会いしまして」
「この方は『学校の怪談』や『しゃべれどもしゃべれども』の監督さんなんですが、ご夫婦で落語がお好きでらっしゃいまして」
「ひとつ時代劇に出てみないかと誘われまして、撮影に参加しました」
「普通であれば、こう、頭髪に肌色のを被せて月代(さかやき)に丁髷(ちょんまげ)を載せるンですが」
「あたしのばやい(場合)、こう、被せる必要ァありませんから、そのお手軽さを買われたんでしょうね、それでお役をいただきまして」
「あたしは、妾に苛めに苛め抜かれる役で御座ィまして」
「役者さんは凄いですね、あたしを苛める妾役の方は関めぐみさんという背の高い女優さんなんですが」
「役に成り切ってますから、本気で苛められてる気になってきまして」
「ここは家か、と何か演技とかそういう感じじゃありませんでして」
「それで、最後には切腹してもう居なくなるわけなんですが」
「あたしもこの歳まで生きてきて、自腹ァ切ったのは初めてでした」

後で知るンですがねぇ、この時代劇とは、『必死剣 鳥刺し(ひっしけんとりさし)』なんてぇ申しまして、豊川悦司、池脇千鶴主演にて今年の七月に公開された作品でした。
して、おふたりの役名は下記の通りで。
連子:関めぐみ
安西直弥:瀧川鯉昇

お仲入りで御座ィます。
百回記念公演てんで、抽選会が御座ィまして、テケツの壱の位が零番だったあたしゃァ鯉昇師匠の銘入り団扇をいただきました。

瀧川鯉斗◆新聞記事

たーたんちぇっくな柄に袴姿の二ツ目のあにさんが高座に上がります。

「僕、名古屋で暴走族の総長やってました」

なるほど鯉斗あにさん、確かに襟足の長さがやんきぃでした。

「小遊三師匠と嵐のライヴに行ったンすよ」
「若いおねぇxはんたちが、こう、ペンみたいな、あれルミカライトっていうンすけど」
「小遊三師匠が『あれ、俺の独演会で使えないかなァ』って仰るンで、早速準備しまして」
「で、当日、木戸口でよろしくお願いしまッすってルミカライトを配ったンですね」
「で、楽屋から客席をそっと見てみたら」
「おばちゃん達、ルミカライトで照らしてながら弁当食べてましたね」

入船亭扇遊◆明烏

「百回公演、世話役の方とお客様に支えられての地域落語会ですよ」
「今朝の朝刊、今朝の朝刊ておかしいですね、朝刊にも載ってました」
「中目黒寄席百回達成なんて、・・・あたしの名はどっこにもありませんでしたが」
「当時、あたしは中目黒に住んでまして、この会のポスターはよく見てました」
「よく見てましたが、それに出てるあたしは中目黒では誰にも気付かれませんでした」

<本編>
「あなたたち、ふたりで帰ってご覧なさい、大門で縛られる」

追い出しとなりまして、会場を後にしますな。
近くにどらふと地麦酒の雁首揃えるてぇ店があるてんで向かいまして、神輿を据えますてぇと、壁に貼られました品書きィ見れば、利き麦酒の組み合わせで種類はこなせるてんで、少しの杯を幾多も重ねまして、ほろ酔い加減で秋の夜長は更けてゆきます。

(續く)

投稿者 yoshimori : October 6, 2010 11:59 PM
コメント

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Posted by: traduceri romana engleza : November 1, 2011 05:42 AM
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