April 09, 2011

◆『郡蛭盛鳩(ぐんしつじょうきゅう)』

本日ァ北区での二人会でござんす。
昨夜からの雨脚は幾分か弱まったようですがねぇ、足駄も揃えてねぇてんで今日の草履履きは遠慮しときやしょう。

『花緑・三三 二人会』
@赤羽南一丁目・北区赤羽会館講堂

入口にゃァ「満員御礼」と出ておりまして、札止めンなっております。
成る程、七束(700)入るなんてぇ会場を前売券だけで埋める勢いのお二方でらっしゃる。

柳家まめ緑◆二人旅

「花緑の六番弟子です」

本編:
此の噺ゃァ通しで演りますと大変長いンですがねぇ、前座のねえさんは「一昨年の八幡様の焼き豆腐が世慣れて角が取れる」件(くだり)まででした。

柳家三三◆大工調べ

三三師匠、自らを「説明下手な噺家」を称します。
「出入口に私と花緑あにさんが募金箱を持って立ち、皆様にプレッシャーを与えるよりも、プログラムにサインを書くという手段で商品売買という経済効果を発生させ、其の売上金を全額寄付という形を取りたい」という旨を訥訥と五分以上も語っておりました。
其のプログラムなんですが、三三師匠の意図が主催者側に伝わらず、実物を見れば、亭号が既に印字されておりまして、署名時には名前だけを横書きという残念な仕上がりだったと云います。

「噺家の名前は横書きに向かないので、プログラムには縦に書かせて戴きますよ」
「私の名は特に書き辛くて、此の名を付けた師匠小三治を今でも恨んでますが」
「一度、(柳家)喜多八あにさんに相談したんですね、あの方は学習院書道部ですから」
「『どうやったら、三三って上手く書けますかねぇ』ってたら」
「『お気の毒』って云われました」

「えェ、そんな日本語が不自由な噺家のお喋りにお付き合い戴きます」

本編:
「流石は棟梁」
「調べをご覧じろ」

お仲入りで御座ィます。

柳家花緑◆二階ぞめき

「明日は都知事選ですよ」
「僕思ったんですけど、投票用紙に『そのまんま』って書くとどうなるんでしょうね」
「『東』と続けば東国原氏ですし、『今の知事』と続けば石原氏ですよ」

「此の時期になりますと、お花見の噺がありますね」
「僕ね、あれ演れないンですよ」
「祖父(五代目小さん)は『長屋の花見』が得意でした」
「本人から聞いたのですが、矢張り実体験が元になってるって云うんですね」
「僕はね、貧乏を知らないからあの噺が演れない」
「でも、僕だけに演れて、祖父には絶ッ対演れない噺があるんです」
「それが、若旦那ですよ」
「親の金で苦労せずに暮らしつつも、偉大なる祖父の重圧に負けて狂ってゆく様が似合う若旦那です」

「笑う事は好い事ですよ」
「ある筋から伺ったのですが、一日八千も生まれる癌細胞は、一回の馬鹿笑いで二千死ぬらしいですね」

「僕、三月十一日は名古屋での独演会に出る為に東京駅の新幹線のホームに居ました」
「僕には『緑』に『君』と書いて、『ろっくん』という弟子が居まして」
「緑君は名古屋出身なんで、名古屋での仕事の時には彼に同行して貰ってます」
「・・・揺れ始めた瞬間、ホームに居る誰も揺れに気付いてないんです」
「新幹線ホームは電車が通過すると揺れてますから、矢張り緑君も気付いてませんでした」
「で、其の内に駅構内の看板がぐらんぐらん揺れ始めて、あ、凄く揺れてるなって思った次の瞬間」
「僕の片腕には全ッ然知らない小母ちゃんが掴まってましたね」
「で、緑君の姿を捜したら、彼は知らない小母ちゃんを二人を両の腕にぶら下げてました」

追い出しが鳴りまして、お開きでござんす。
吉林省出身というあにさんと韓国出身のねえさんが営むなんてぇ家庭料理の店で、境界線が曖昧な大陸半島折衷な品品で杯を重ねまして、赤羽の夜ァ更けゆくので御座ィます。

(了)

投稿者 yoshimori : April 9, 2011 11:59 PM
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