April 25, 2011

『終ノ棲家』 (第拾漆回)

<陛下ノ御為ニ>
メイン州が生んだ稀代の作家、スティーヴン・キング原作である『スタンド・バイ・ミー』は、主人公が仲間と連れ立って列車に撥ねられた少年の死体を捜しに行くという素敵メルヒェンな話だったと思う。
以上を踏まえ(何をだ)、今回は依頼主不在の死体捜しである。
首都より遥か北東に位置する山脈の何処かにに其の捜し物は在るという。
降る中、何の手懸りも無い儘、山頂を目指すと、今は風雪に晒されて文字通り野晒しとなっている男が生前に寝泊りしていたとされる野営地に辿り着いた。
其処には重装備で武装した中年男性が居て、何をする訳でもなく茫洋(ぼんやり)と山並みを眺めている様子。
・・・おっさんはこんな山奥で何をしてるの。
「別に」
会話は此れで終りである
少なくとも敵意は無い様なので放って置いて、死体捜索を続けるとしよう。
・・・数時間が経過。
件の男より情報を聞き出せない以上、此処に居ても何の発展も無いと覚り、麓での情報収集の後に再訪しようと諦めて下山し始める。
下山中、突如現れる森林警備兵、全力で野生の鹿を追っている様子である。
其処までは日常風景なのだが、不意に不穏な空気が漂い始め、目前の森林警備兵は鹿ではない何かで射始めた。
相手の姿を探すと、森林警備兵と同じ制服を纏っている様に見える。
・・・其れも其の筈、彼の同僚である。
え? 鹿の奪い合い? 同じ職場で? ・・・あ、片割れが倒れた
そして、初めに見掛けた方の森林警備兵は鹿追いを再開した。
下山してから前述の内容を先人に話すと、「知らないの? あいつらいつもあんなだから。お前の矢が当たっただの、お前の矢が刺さっただのって直ぐに殺し合うのさ」一笑される。
・・・常日頃から同僚とは仲良くしたいものである。

(續く)


<覚ヱ書キ>

"True Grit (2010/Paramount/110)"
director;
Joel Coen / Ethan Coen
starring;
Jeff Bridges as Reuben J. "Rooster" Cogburn
Hailee Steinfeld as Mattie Ross
Matt Damon as LaBoeuf
Josh Brolin as Tom Chaney
Barry Pepper as "Lucky" Ned Pepper

投稿者 yoshimori : April 25, 2011 11:59 PM
コメント
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?