May 06, 2011

『幻想ト猊下』 (第弐拾参回)

<鹿鳴館ガ下駄ヲ履ク>
入り組んだ入り江で構成されているに来ている。
島内北東部にある聖堂にて緑色の法衣を纏った聖職者より当聖堂の由来である聖人の逸話を聞かされる。
教団の信者に裏切り者が潜んでいると感じた聖人は晩餐会にて自分以外全員の盃に毒を盛り、倒れた彼らの腹部を鋭利な何かであれこれして取り出した内臓読んで信者らの真意を探ろうとしたが、何だかさっぱり分からなくてうやむやにしたくて自分も自害したという。
何だそれは
という突っ込みはさて置いて、そんな茶目ッ気のある聖人の衣が貰えるというので、有り難く受け取っておく。
・・・って此れドレッシーにも程があるんですけど。
陰謀と奸計と殺戮と暴力の世界で生きている自分には程遠い社交界貴婦人的正装である。
それでも洋傘(らしき得物)を小脇に抱えて今日も小粋に石畳の上を走り抜けるのだ。

(續く)

投稿者 yoshimori : May 6, 2011 11:59 PM
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