May 31, 2011

◆『悔恨ト情念』

本日ァ古書店街での落語会でござんす。
開演が十九時なんてんで、其の辺をぶらつきまして繋ぎにペイイチ戴こうかと店に入りますてぇと、やれ十八時開店だ後五分だ十分だなんてぇ云われまして、まァ何処の店も気遣いがござんせん。
やさぐれたまま何杯か戴きまして、ぐだぐだな様子での会場入りとなりんした。

『らくごカフェに火曜会』
@神田神保町二丁目・神田古書センター五階

柳亭こみち◆湯屋番

「こういう会の帰り際によく質問される事がありまして」
「あまりにも問合せが多いので、紙に書いて配ろうかと思いました」
「ご存知の方もいらっしゃるかと思うんですが」
「ドラマ『仁-JIN-』を観てらっしゃる方に質問されるのが、日本生命のCMについてです」
「『あのCMに出てるのはこみちさんですよね?』なんて聞かれますので、あれはあたくしで御座居ますと申し上げて置きますが」
「そうですね、撮影時の事等を三分だけお話し致しましょうか」
「あ、此れから三分延びますんで」
「撮影は浅草にあります木馬亭で行われました」
「美空ひばりさん、森光子さん、オノ・ヨーコさん、荒川静香さん等、数数の有名人の方の映像が流れまして、あたしが一瞬映るだけなんですが」
「で、最後に『2011年の女性たちへ』と出るんですね」
「・・・今年はいいんですけど、あたしは来年何をしているんでしょうか・・・」

「落語には似た噺がよく御座居ます」
「ABCと選択肢がありまして、Bの噺をしようとしたら途中からCになってしまうという事もあります」
「本日は其のBをお話ししようかと思いますが、もしかしたらCに行ってしまうかもしれません」

此のABCは飽くまでもあたしの想像の域を出ませんが、大家のしくじりの若旦那が二階に厄介になっている「十階の身の上」というしちゅえーしょんから鑑みまして、以下の三つに特定されるかと存じます。

A:「船徳」 ・・・ 船宿に奉公
B:「湯屋番」・・・ 湯屋「櫻湯」に奉公
C:「紙屑屋」 ・・・ 紙屑屋に奉公

金原亭馬吉◆錦の袈裟

「こみちさんもねぇ、入り立ての頃は素直でしたね」
「何でも云う事を聞いてくれてまして」
「あたしは当時立て前座でして、もう新人の子には立て前座が頼りなんですよ」
「で、新人も段段と前座の仕事を覚えて参りますと、段段と立て前座も頼りにされなくなるんですね」
「・・・もうそうなると駄目ですね、全然云う事を聞いてくれなくなるんですよ」
「・・・あんなに優しくしたのに、先に結婚しやがりましてねぇ・・・」
「あ、此れ今だから云うんですよ、ほんとに、ねぇ・・・」

お仲入りで御座ィます。

金原亭馬吉◆厩火事

サゲ:
「お前ェに怪我なんてされてみねぇな、明日ッから遊(あす)んでて酒が飲めねぇ」

柳亭こみち◆祇園祭

本編:
京者が祇園祭での鳴り物を口で表現するんですがねぇ、高音域から始めたばっかりに、
「・・・ちょいと高過ぎたんじゃねぇか」
なんてぇ自嘲気味で御座ィました。

縄でも手繰ろうかなんてぇ思い立ちまして、蕎麦屋めいた店の暖簾を潜りますがねぇ、後三十分で閉店ですなんて無下にされましたてんで、江戸前もどきの啖呵ァ切って扉ァ力の限り閉めて再び彷徨(さまよ)いますな。
ささくれた儘河岸ィ変えまして、海鞘(ほや)と饅(ぬた)を肴に冷酒を幾杯か戴いて古書店街の夜は更けゆくので御座ィます。

(了)


<覚ヱ書キ>
◇"MONTAGNE NOIRE" Syrah
◇飛露喜(福島・会津)
◇王禄(島根・出雲)

投稿者 yoshimori : May 31, 2011 11:59 PM
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