June 05, 2011

『夜な夜な寝室に忍び込みつつも心臓に杭を打ち込まれない五つの選択』

「疲れた主婦」と形容されるには及ばない。
ていうか其の前に、三十代後半の男は確かに疲れてはいるが、断じて主婦ではない。
成る程、生活苦から来る困窮感は束ねた髪の解(ほつ)れに表れ、台所にある食卓の前に座って肘を突き突き虚ろな瞳でワイングラスを電燈に透かして溜息といった諸症状に起因するのは想像に難くない。

自宅で寛ぐ目的の為に窮屈な格好をする行為は奇人にすら稀である。
況(いわん)や凡人に於いておや、である。
諸事情の伴う拘束具の装着とかそういう類のあれは別にしても、一般的に市井の人人は部屋着と呼称される衣類を纏っており、其れは図らずとも屋内での行動にのみ特化された機能美を備えるだけの代物であって、喉の渇きを癒そうと最寄りの自販機までの外出でさえ途惑いを覚えるのも止む無しと心得ている。

故に不意の呼び鈴には常に怯えているのだ。

(了)


//memo//
//himono (aji, kamasu, kawahagi)
//basashi (Kumamoto-san)
//beef steak
//bbq (onion, piment, leek, eggplant)
//mashroom and bacon fettuccine

投稿者 yoshimori : June 5, 2011 11:59 PM
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