July 13, 2011

『忘月』 (第52回)

<頸部ヨリ上>
現時点で所有する最も高価な品は、古代より伝わる秘宝と呼ばれる品でもなく、世にも希少な貴金属をふんだんに鏤(ちりばめ)めて誂(あつら)えた装飾品でもなく、蛮族が持つ象徴的な位置付けの「杖」である。
本日、四本目の杖を入手。
改めて言い訳する必要もないのだが、当然略奪品である。
業者に引き取って貰おうと交渉するが、名立たる豪商の所持金すらも遥かに超える価格設定となり、商談は常に不成立となる。
このまま宝を持ち腐れるのも悪くないのだが、この杖、石突きではない先端部に、かつての所有者である部族とは異なる部族の族長のリアル頭部が設(しつら)えてあり、部屋のインテリアには全くもって向かない事この上ないのが悩みと云えば悩みである。

(續く)

投稿者 yoshimori : July 13, 2011 11:59 PM
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