August 27, 2011

『松ヶ崎御所海道町の女』(第2回)

帰省中、二日目である。

本日は神主、氏子中が寄り集まっての例祭が執り行われるという。
町内の有志らは神事を取り仕切る宮委員という名の下に、酒精が提供される会に参加している様子である。(自分はこの土地に住まっていないので除外)
宮前より青空を見上げれば、火の見櫓に寄り添うように、明治初年に拵えたという大旗が棚引いている。
廿米(20m)は悠に超えるそれは重機無しでは立てられも寝かせられもしないと云う。
風に舞う旗が絡まるだけでも、クレーン車の出動無しでは解けもしないのだ。

以上の流れを踏まえると早朝より工事現場の如く響き渡る騒音の正体は祭の準備作業と考えるのが妥当のなのだが、祭とは一切関連付けられない団体の存在がそこにあった。

自衛隊である。
祭の現場である神社の北側では、陸自独特の色調が施されたの数種の重機らが轟々と唸りを上げ、炎天の下で整地にする為の作業を行っている様子。

・・・不発弾?

不穏且つ少しだけ偏った思考回路で導き出される必然的な疑問である。
近隣住民に確認してみると、答えは揃いも揃って「新人研修」という。

空地を? 更地にするのが? 新人の? 研修

挙句、彼らは何処の部隊なのかと尋ねても「知らない」「マニアじゃないし」と頼りない事この上ないのだ。(自分の故郷には彼らの駐屯地など存在しないのに)

騙されるもんかとひとり頑張ってみても、彼らがどういう特命を帯びて何の作業に従事しているのか皆目分からず、一夜明ければ自分は再び帰京してしまうかと思うと、長年同町内に暮らす危機感を持たない善良な人々の明日を憂うしかないのだ。

(續く)

投稿者 yoshimori : August 27, 2011 11:59 PM
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