February 06, 2012

◆『焙炉と蝦蟇と高麗産』

本日ァ水天宮前での二ツ目勉強会でござんす。

『日本演芸若手研精会 第三百六十六回 如月公演』
@日本橋蛎殻町一丁目・日本橋劇場

入船亭辰じん◆金明竹

後に上がる遊一あにさんが仰っておりましたがねぇ、半年以内に辰じんは二ツ目昇進だそうで、お目出度うござんす。

入船亭遊一◆元犬

・・・この噺を遊一あにさんで聴くのは何度目でしょうか。
得意根多なんでしょうがねぇ、当会、勉強会なんてぇ名目なんてんで、偶にゃァあにさんの新しい演目が聴きてぇですなァ。

三笑亭夢吉◆両泥

「私は新潟は新発田(しばた)の出身なんですが」
「地元に新発田署という警察署がありまして」
「この警察署で二本警察史上で前代未聞の事件があったんですよ」
「何と、敷地内に停めていた3台の白バイが盗まれたんですね」
「・・・で、盗難届けはお隣、村上署に提出したみたいです」

「とある男子大学生が自宅でシャワーを浴びていたそうで」
「で、蛇口をきゅって止めますと、部屋で何か物音がするてんですね」
「バスルームの扉を開けたら、見知らぬ男と目が合ったんですって」
「泥棒だッと思って、『泥棒ッ!』って叫んだら、その男は走って逃げたそうです」
「待てこの野郎と大学生は全速力で追い駆けまして泥棒を取り押さえましたら」
「騒ぎを聞き付けた近所の住民の通報でお巡りさんがやって来まして」
「泥棒と一緒に全裸の大学生が連れてゆかれたそうです」
「・・・まァそりゃそうですよね」

春風亭一之輔◆蛙茶番(かわずちゃばん)

「今は歌舞伎座が建て直しとなっておりまして、新橋演舞場が仮の舞台みたいですね」
「(中村)勘三郎さんの中村座も人気がありますね」
「・・・まァ掘っ建て小屋みたいな造りですが」
「演目はもちろん『(仮名手本)忠臣蔵』ですよ」
「五段目、山崎街道、(市川)猿之助さんが演じる(斧)定九郎が黒の羽二重、白塗りで登場します」
「与市兵衛から縞の財布を奪い取り、勘定しまして『伍拾両~』」
「『忍び三重』という三味線が入りまして、こう見得を切る場面ですね」
「・・・チチチチチチチチチ・・・」
「その時、まァ掘っ建て小屋ですから、パトカーのサイレンがまる聞こえなわけですよ」
「パープーパープー」
「・・・チチチチチチチチチ・・・」
「パープーパープー」
「隣に居たお客さんが『定九郎、逃げろッ!』って云いました」
「まァ定九郎、逃げやしませんが」

お仲入りで御座ィます。
前述の夢吉あにさん、古今亭志ん吉あにさん、柳亭こみちねえさんらが前売のテケツを直売しようと客席を往復しております。
三月より後の公演より「自由券」が設定されまして、どの会にでも使用できると説明がありました。
成る程、噺家の人気不人気に左右されない販売方式とは思いましたがねぇ、テケツを持ちながら会場に入れない程の「入り」があった場合に如何対処なさるんでしょうか、なんて老婆心がないでもござんせんよ。

柳亭市楽◆薬罐

「この勉強会は根多出しこそしてませんが、『つく』(似た話が続く)といけませんので、身内では事前に打ち合わせしたりしてるんですよ」
「で、鯉橋あにさんに『何演るんですか』って聞いても教えてくれないんですよ」
「『何故ですか』って聞いたら、『恥ずかしいから』としか云わないんですよ」
「えー、それでは鯉橋あにさんの恥ずかしい噺をお愉しみに」

瀧川鯉橋◆井戸の茶碗

「・・・恥ずかしい噺をします」

「役所に提出する書類なんぞを書く時に『職業欄』で毎回悩むんですよ」
「うちの師匠、鯉昇に『落語家って書けばいいんですよね』って少し酒の入ったタイミングで聞きましたら」
「『あー、違う違う、落語家てのは職業じゃない』」
「『じゃァ何ですか』」
「『生き方だ』って云われました」
「そう云われながらも、『落語家』って書きましたけど」

追い出しが鳴りまして、お開きで御座ィます。
海を渡った隣国の辛味鍋をいただきまして、程好い加減で引き上げます。

帰りしなの車中、いただきものの恐怖体験漫画を捲りますてぇと、こみかるな人物描写とは対称的に恐怖表現だけが妙にりあるでして、何となく「いただいた理由」が分かった気もしますな。
最寄り駅で下車し近所の踏切まで歩きますと、警察官と救急隊員と見慣れぬ制服を着た方々が大勢忙しなく立ち働いておりまして、遮断機の傍には何かが入っていると思しき大き目のびにーる袋が幾つか並べられ、線路上には目出度くない方の「けっこん」が目の端に映ります。
携帯電話に表示されました鉄道運行情報を見ますてぇと、正にその区間での人身事故の文字が。
・・・何とまァ。
見慣れぬ制服の方々は「特殊清掃係」だったんですね。
・・・湿っぽい話になりましたが、またよろしゅうと願っておきます。

(了)


<覚ヱ書キ>

『屍蘭 新宿鮫III』 大沢在昌 (光文社)、読了。
『視えるんです。 (1)』 伊藤三巳華 (メディアファクトリー)、読了。

投稿者 yoshimori : February 6, 2012 11:59 PM
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