May 10, 2012

『ネブラスカでの六次の隔たり』

<覚ヱ書キ>

朝:冷狸饂飩
昼:穴子、鱚、空豆の抓み揚げ、海老
夕:皿饂飩、麦酒

◇少し霜降りな20代前半の女子、携帯電話の向こう側の誰かに何かを伝えている様子。
◇「じつはいまたいへんなことになってるんだけどさ」
◇「こないだmixiに知らないひとからメッセージが届いて」
◇「ぜんぜん知らない名前だったし、しかもmixiしばらくつかってなかったから、ほったらかしにしてたのね」
◇「そしたら、何通か連続できてて『とても大事なことだから返事がほしい』って書いてあってさ」
◇「『メールで話す内容じゃないから』って、そいつの携帯番号がかいてあんの」
◇「メールで話せない大事なことって気になるじゃん?」
◇「で、その番号に電話してみたの」
◇「話してみたら、『きみはあと10日以内に不幸なことになる、最悪死ぬこともある』っていうわけ」
◇「はぁ? ふっざけんなって感じでしょ? あたしも最初はそう思ったの」
◇「よくよく聞いてみると、『ぼくはこの話を5人の人間にして、そのうちの4人を助けられたんだけど、ひとりだけはどうしても聞いてくれなくてむりだった、だからきみを“助けられなかった2人目”にしたくない』っていうわけ」
◇「そしたらもう気になるじゃん? あたしだって助かりたいし」
◇「・・・で、これからそのひとと会うんだ」
◇・・・って、おい、誰かこいつを止めてやれ、と思いながらも、円山町へと消えてゆくその子の後ろ姿を見送るしかないのだ。(哀)

(了)

(改題) 『ネブラスカ、六次の隔たり』

投稿者 yoshimori : May 10, 2012 11:59 PM
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