May 27, 2012

『流刑地より乗馬で3.5ハロン』 (第19回)

◇女である。

◇義賊を気取った積もりが、崩壊寸前のマフィアに所属し、ただの下っ端に成り下がっている。
◇「俺の名は怪盗なんとか」って云いたいのに!

◇汚れ仕事その壱。
◇アジトの奥に位置する一室に呼び出され、上司よりミッションを授かる。
◇「養蜂園の巣箱を3つ焼いて、金庫からゴールドを奪ってこい」
◇えーと、不法侵入、放火に窃盗ですかね。下手すりゃ強盗障害致死もありますね。
◇「まァお前の腕次第だな」
◇正面から堂々と乗り込んで傭兵、経営者を皆殺ししてから悠々と金庫をこじ開けるという手段は、依頼人が好まないとの理由で却下される。
◇代案として示された「下水道から侵入し誰にも見付からずに任務を遂行する」ことにする。
◇養蜂園へたどり着くにはふた通り、正面の石橋を歩いて渡るか、対岸から裏側の下水道口まで泳ぐしかない。
◇事務所へこっそりと忍び入り、まずは金庫を狙う。
◇部屋の入口に背を向けている経営者の懐より金庫の鍵を掏り取ると、まずはゴールド奪取に成功。
◇事務所から中庭に出て、蜂の巣箱を探そうと周囲を見回すが、「お前に礼儀というものを教えてやる!」との物騒な声が背後から浴びせられる。
◇やべぇ見つかったと振り返ると、声の主は養蜂園の関係者ではなく、「窃盗事件の被害者が雇った刺客」ふたりがそこに。
◇当然、この騒ぎを聞き付けた傭兵らは、不法侵入者3名に対して制裁を加えるべくわらわらと集まってくる。
◇潜入作戦失敗じゃん!
◇傭兵と刺客が剣戟を交えている隙にとりあえず戦線を離脱。
◇幸いにも傭兵も刺客も目の前の敵に精いっぱいいっぱいで、こちらを追う余裕もない様子。
◇巣箱を見付けて、蜂の攻撃を交わしながらファイヤーファイヤーと火を放つ。
◇幾つかの巣箱から黒煙が上がるのを見て任務完了と判断し、養蜂園より湖へとダイヴしてアジトへと逃げ帰り、ドヤ顔で結果を報告。
◇「巣箱は3つだけ燃やせばいいって云っただろ、馬鹿ッ! 4つも燃しやがって! 依頼人はお怒りだ、よって報酬は無しだ!」
◇と、上司より叱責される。
◇しょぼぼぼーん。

(續く)

投稿者 yoshimori : May 27, 2012 11:59 PM
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