June 10, 2012

『小夜啼鳥の左眼』 (第22回)

◇女である。

◇この組織で自分は何故か「小娘」と呼ばれている。
◇まァぺーぺーですから。
◇幹部は3名、ひとりは多忙に過ぎて会話もままならず、もうふたりは仕事の斡旋を請け負っている。
◇上司(♂)から呼ばれたので、出頭してみる。
◇「競合する相手は潰す、そいつが俺達の遣り方だ」
◇ここは不殺主義じゃありませんでしたっけ?
◇「お前を殺そうと襲いかかって来る輩の前でそんな理屈が通じるのか?」
◇何やら少し殺伐としてきましたね。
◇「まァ聞け、『夏の終わりの影』とかいう中二病みてぇな連中がのさばってるらしい」
◇恥ずかしい名前ですね。
◇「そうだ、我々には信じがたい名だ。まずは北へ行って、農場主と会うんだ」
◇なるほど、組織は北部への拡大を画策しているようだ。

◇北へ。
◇例の一団に娘を殺害された農場主は、盗賊頭の持ち去った遺品の回収を求めているという。
◇「その結果、君が盗賊を排除するのは仕方のないことだ」
◇何処かの国の官僚みたいな事を云いますね。
◇「誰だって『殺せ』とは云いにくいものさ」

◇云われた通りにヤサである洞窟を急襲。
◇事前情報によるとここのボスは「死体から盗むのが好き」という。
◇それは「強殺」が大前提なのか、あるいは「墓荒らし」気質なのか疑わしいところ。
◇まァ盗賊団ですから、当然前者でしょうな。
◇そのくせボスの名がやたら女子っぽくて、対決が否が応にも盛り上がるというものだ。(何が)
◇策敵と適切な処理を繰り返しながら洞窟奥へ。
◇やたら軽装で細面なボス登場。
◇そのくせやたら打撃が痛く、体力がミルミル削られる。
◇それでもどうにか勝利して、戦利品としての装備品を剥ぐ。
◇・・・ガチムチなおっさんでした。

◇依頼者の娘の遺品、「銀のロケット」を回収して撤収。
◇農場主へ無事に品を返却して感謝され、泥棒組合北支部の再興を約束して帰還する。
◇上司にドヤ顔で報告。
◇「お前さ、旗燃やした?」
◇な、何ですか。
◇「『夏の終わりの影』の団旗が、洞窟北西部にある部屋の奥にあったはずなんだが」
◇し、知りません。(そこまで知ってて何故教えん)
◇「赤いのがはたはたしてたろ?」
◇いやー、見なかったですねー。いいい、今から燃してきます。
◇「もう遅いよ」
◇駄目ですか。
◇「したがって、ボーナスは無しだ」
◇(・・・なんなのこのひと、いちいちはらたつわー)
◇(ためいき)・・・あしたからもぬすみまくろ・・・。

(續く)


"Von der Nachtigall und der Blindschleiche"

投稿者 yoshimori : June 10, 2012 11:59 PM
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