August 19, 2012

『狂おしいほど咀嚼』 (第31回)

◇女である。(2人目)

◇王国の首都に来ている。
◇何処より大きな街で人口密度も高く、「おつかい」を頼まれ易い環境である。

◇その一。
◇文字通り「首斬り役人」より「俺さ、普段は看守の仕事やってんだけど、うっかりひとり逃がしちゃってね、上には『尋問中に手違いで死んじゃいました』と報告している脱獄囚を始末して来てよ」と頼まれ、雪が降りしきる北西部の山中へと向かう。
◇現地にて一族郎党ごとを葬って、役人へ結果を報告。
◇「いやー、助かったよ。これは礼金ね。まァ暇だったら俺の職場でも見学してってよ」
◇案内された先には、血塗られた拷問具と、うっきうきでそれらの道具を眺めては片付けている同僚らの姿が。
◇(梯子状の台に人を寝かせ、手足を固定してきりきりと伸ばしてダメージを与える仕様の拷問装置)
◇ここでの尋問とは「拷問」と同義と知る。

◇その二。
◇「何そのセンス、それでよく外を歩けるわね」と喧嘩腰に絡んできた自称ファッションリーダーより、ステルスマーケティングを依頼される。
◇「うちの服を着て、王室をうろうろするのよ」
◇云われた通りに着用した衣類の姿で女王と謁見。(夫である王は最近殺害された)
◇「あら、それ素敵な服ね。そうなの、あの装飾店のね。いいわ、何着か注文しましょう」
◇ばかか。

◇その三。
◇王の側近より「害虫駆除」と称した「少しだけ他の人より長生きで、蚊やある種のコウモリみたいな習性を持つタイプの人間狩り」を依頼される。
◇で、その側近は先代の王より王家に仕えているのだが、どう贔屓目に見ても30代前半にしか見えない。
◇しかも、顔色も悪く、日中は大概自室で寝てるし。
◇・・・同族嫌悪っていうか、こいつは身の保身と自己愛で生きているのだな。

(續く)

投稿者 yoshimori : August 19, 2012 11:59 PM
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