October 19, 2015

『河ノ底ノ珠ヲ獲ル』

大陸発祥の火鍋専門店が池袋を国内第一号店としてオープンしている。
案内を待つ間、フルーツや飲み物が提供されるが、ファミレスでキッズ向けに配膳される明るい配色のプラッチックなトレイとグラスである。
ネットの口コミを眺めると「日本では見られない過剰なサービス」があるという。
それは「女性向けネイルサービス」の他、化粧室では蛇口を捻り、石鹸を差し出し、ティッシュを手渡してくれる専属スタッフがいるらしいのだが、女子側に用事はないので確認はできない。

店内の階上より円形に刳り抜かれた吹き抜けから下層を見渡すと、かなり広く見え、聞けば3,000人が収容が可能という。
埋め込み式の卓の中央にはスクエアに鍋を仕込む穴が穿たれており、一旦嵌め込まれると熱いし重いから、自力では向きを変えることは不可能に見える。(スタッフ呼べって)

特定の品を頼むと、演武の型で派手に麺を伸ばす匠の技を披露するのだが、オープン直後ということもあってか、未熟なスタッフは計四つの麺を何かしらに接触させてやり直していた。
ベテランが登場すると外連味たっぷりに伸びた麺が縦横無尽に宙を舞い、一発OKで鍋へと放り込まれる。

種々雑多な食材をやっつけて後、此の地を去るのだった。(移動先でゲリラ豪雨に遭う)

(了)

投稿者 yoshimori : October 19, 2015 11:59 PM
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