2005年07月13日


国電大久保駅から営団百人町駅の乗換えなら地下道を使えばいいじゃないか。そう同僚に薦められた数日前のことが思い出されて改札の手前で立ち止まった。来た途をうろうろと引き返しひとしきり辺りを探すのだがそれらしい入口は見当たらない。改札を抜ける客もまばらになった頃、半袖の駅員に地下道は何処かと訊ねると何故だかいそいそと揉み手に上目遣いではいこちらでと案内をしてくれた。

肌着の透けた縦縞の白いワイシャツの背中についていくと、階段を昇ってプラットホームをずいずいと歩いていく。新宿寄りのいちばん端まで辿り着くと緊急時なんとかと文字が書かれた山吹色の厚手のビニールの覆いを剥ぎ取ってこちらですと手で示すと確かにそこは長い下りスロープの入口になっていた。

暗いだれもいない通路をひたひたと歩いていく。蛍光灯の光が弱いくせにその配置間隔が開き過ぎているから暗くて仕方が無い。暫らく行くと先程の駅員が入口に覆いを被せる音が響き辺りは一層暗くなった。

長い直線が続いた先は、甚だ中途半端に折れ曲がっており、そして行止りには観音開きの重そうな扉が現われた。表面には映画館の入口扉のような艶めかしい光沢と張りがあった。

一息に扉を開けると、途端に喧騒が立食パーティー会場のようにうわんうわんと辺りに木霊した。沢山の人々が右へ左へ盛んに往来している。どうやら長い地下道の中ほどに出てきたらしい。

どちらが百人町の駅なのかがはっきりとしないが恐らくと見当をつけて人々の流れに加わった。

投稿者 vacant : 2005年07月13日 19:12 | トラックバック
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