2006年11月28日

11月4日(土)
森美術館
ビル・ヴィオラ展 「はつゆめ」
(2006年10月14日 〜 2007年01月08日)


■ビデオアートは、絵画になった。


ビル・ヴィオラのことは知らなかった。

縦横の比率が、カンバスを彷彿とさせるカタチのフレーム。

その中に描かれた、超HS(ハイスピード)撮影された

スローモーション映像。

彩度の高い鮮やかな発色や、レンブラント(?)の時代のようなライティング。

ビル・ヴィオラによって、

ビデオアートは、タブローになった。

なかでも、印象深かった作品は

『グリーティング/あいさつ』(1995年)だ。

題材は

3人の女の、井戸端会議。

それぞれ赤・青・黄色をベースにした衣を着ている。

背景は、舞台背景のような、

中世の宗教画の街角(?)のような、キリコの絵の町のような。

無国籍というコトバがあるように、

無時代というコトバがあるなら、そういう狙いのディテールだ。


超スローモーションによって、はっきりと見えてくる

3人の女のあいだの

視線の動き、表情のわずかな翳り、戸惑い、気遣い。

ご近所の3人女の出会いは、

なんの結論も出さずに終わっていく。

(展覧会目録も、この無目的な映像のシュールさに、半ばあきれ口調だったのが、ちょっとウケた。
45秒の映像を、10分にして見せているとのこと。)

・・

たとえば

われわれが

西洋の写実絵画を見るとき、

(仮に、クールベの『こんにちは、クールベさん』だとしよう。)

その絵の前後に流れた時間を

知らず知らずのうちに想像している。

ビル・ヴィオラの作品『グリーティング/あいさつ』は、

そんな、

いままでわれわれが

想像によって、頭の中で見ていた映像(=絵画の前後)を

タブローに描いて見せた

画期的でショッキングな作品だ

と思った。

HS映像によって、映像が絵画になるなんて、

なんてシンプルなアイデア!!

誰でも思いつきそうで、それでも誰も試さなかったビッグアイデアをカタチにした

ビル・ヴィオラに、

畏敬の念を捧げます。

・・

展覧会のクライマックスは、

『ミレニアムの5天使』(2001年)。

巨大な、5作品の連作。


ちょっと前に、

資生堂(シセイドウメン)のコマーシャルで

「心は、自由か。顔は、どうだ。 SHISEIDO MEN」という広告があった。

中田英寿や野村萬斎が登場するCMだったが、

あれは、ビル・ヴィオラの

パ○○だったことを

この展覧会に教えてもらった。

いや、強烈な影響下にある、とでもいうべきか。

投稿者 vacant : 2006年11月28日 23:12 | トラックバック
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