2006年01月24日

DVDで映画『珈琲時光』を見る(松竹 - DA-0603 )

東京もいいもんだなー、と素直に心地よい気分になった。

雑司が谷に住む一青窈が
都電を大塚で乗り換えて、
神保町の古書店で働く浅野忠信に会いに行く。

一青窈の両親が住む、上信電鉄吉井駅の田園風景や、
彼女が仕事で訪れた東急池上線洗足池駅前に
おおきな柳が揺れていたのも
いいアクセントだった。

そしてそれらを包んでいる
「日本の夏・八月」という設定。

日本の映画のなかで
いい日本の夏が描かれるたびに
日本は夏こそいとをかしと思う。

一青窈がちょっと具合を悪くして電車を降りる新宿駅のプラットホーム(の端っこ)や、
繰り返し登場する御茶ノ水の濠で
総武線と中央線と丸の内線が交差する風景も
実になにげなくもすてきな東京シズルだった。


オープニングは
富士をバックに「松竹映画」と書かれた昔のタイトル。
そのあと
「小津安二郎生誕百年云々」と一部日本語らしからぬ言葉で
タイトルが入る。

実は、誰が監督なのかも気にせずに見始めたので
カントクが
「悲情城市」「冬冬の夏休み」の侯孝賢(ホウ・ シャオシェン)であることは
エンドロールを見て知った(苦笑)。

へーえ。日本人じゃない人が、これ、撮ったんだぁ。

そういえば、
前述のおおきな柳や、青々とした水田風景。
夏なのに、不思議にクールなトーンだ。
乾いて土埃のたつような古い台湾の街角(台東あたり)のにおいがする
微かに淡く黄土色かかったトーン。

そして思った。
あれ、でも
映画初出演の一青窈をはじめ
日本語のセリフの演技指導をどうやったんだろう。
どうやってOKだしたのかしら。
一青窈もけっこう自然にしゃべってたけど。
日本語の喋り方は俳優に任せたのかな。

見終わっていろんなサイトを巡ってみた
「侯孝賢なのに駄作。」と断言している人もいれば
ソフィア・コッポラ監督の「Lost In Translation」と比較している人もいた
「Lost In Translation」かぁ・・・。
数ヶ月前にやはりDVDで見たけど、アレこそ近年稀に見る駄作だと思いました。
設定にも、ストーリーにも、登場人物の心理にも、役者の演技にも、紹介される東京にも、何ひとつ共感できないひどい映画でした。

さて、「珈琲時光」。
エンドロールでは、
実際に使われた古書店や喫茶店の名前が
実名で出てくる。
こんど都電に乗ってめぐってみようかなぁ


・・・
あ、そうそう。
大家さんにお酒を借りるのは「東京物語」へのオマージュ。
じゃあ、
浅野くんが電車の音を収録してるのは「リスボン物語」(と「東京画」)へのオマージュだったりして。。。

2006年01月04日

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滑川。

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誰もいない山道を歩いていくと山頂で公園に出た。
披露山公園から、幽かに富士を望む。

ビバリーヒルズという処に往ったことはないけれど、
日本にビバリーヒルズが在るとすれば
田園調布でも芦屋でも千葉リーヒルズでもなく
小坪三丁目披露山庭園住宅だと知った


崖を、迷路のような階段で下りてゆく。

崩落危険地帯のような場所には、懐かしい安心感を覚える。
生まれ育った町を思い出すからか。


小坪小学校。
この学校には、山の上の庭園住宅で育った子らと
崖のふもとで育った子らが共に通うのだろう。
そんなことを想像しながら。

山村の郷愁をさそう小坪六丁目を通り抜けると
道は
冥府への入口のような小坪随道へと吸い込まれていく。

越の国を抜けた。
空気中の光りの量が微妙に増えた。
傍らには、ささやかな随道殉職者の碑。

すれ違ったくすんだ水色の路線バスは、
とても通れるとは思えない小さなあの随道へと
走っていった。


材木座。


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