July 23, 2007

『閨房』

深夜、何かの物音に目を覚ます。
陶器とやわらかな何かが触れ合う音がする。
「にゃあ」とも聴こえる。
低く長い物体が暗闇に浮かぶ。
全体的に白く、ところどころ黒い。

トイレの窓が全開で、かつドアも閉まりきってなかった為にそれの侵入を許してしまう。
あー、先生、いつもお世話になってますー。

小パニックなあまりに発した話したこともない京都弁の後輩口調も完全無視され、それは部屋をきっかり2周し、ベランダに面した網戸の隙間から屋外へ。
よくないことが起きずに済んだと胸を撫で下ろすも、右の二の腕と左足の甲に蚊とは思えない刺し跡が残っているのに気付く。

野性味あふれる先生の置き土産におびえる日々を過ごす初日、アレルギー体質としては致命的な環境になりつつあるのではないかと唯一無菌なバスルームへと逃げ込むのだった。

(了)

投稿者 yoshimori : July 23, 2007 11:59 PM
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