September 15, 2010

『九月中席~咀嚼夜会』

涼しいには違いないが、曇天を通り越して降り始めているようないないようなそんな気配。
夜半にはになるという。
それでもまっつぐに帰るという気遣いはない。
久方振りに食べたい物を目指して移動している。

千代田区、地下鉄の出口より地上に出る。
家路に急ぐ人々の間を縫って泳ぐように進むと、果たして目的地はそこにあった。
時刻は19時半前、既に完成形の酔客らが大声を発しているのが外からでも分かる。
一抹の不安を抱えつつも暖簾をくぐると、嗚呼已んぬる哉「ウエモシタモイパイデス」とカタコトわられる

まァ致し方無ぇやなと、店名が入った暖簾と「ぎょうざ・たんめん」と記された看板、女主人が大事に育てていたと思しきプランターに火を放って速やかに撤収
背後より嗚咽交じりの慟哭が聞こえたが、振り返らずに地下鉄の階段を下る。

・・・食べたかったし、あの湯麺

そして、新宿区
予報通り、は降り出している。
木製看板を横目にしながら暖簾をくぐり、手前に斜めったカウンターに案内される。
江戸の仇は長崎に相違ないと啤酒(ビール)と湯麺(タンメン)を頼む。
香港映画におけるやられ役顔の従業員より「オジカンカカリマス」と告げられ、無言で頷いたのが唯一の国際交流と信じている。

ほどなくして運ばれる、器になみなみとした湯麺
顔でも洗えとばかりに、白く輝く陶器の底深な洗面器がそこにある。
・・・これはもう、何ともまあ、わりと多いな
それでも、やっつけよう、仕事のように。

錯乱気味に、豆苗とトマトの炒め、牡蠣のオイスターソース炒め小皿で追加。
前者は、皿に盛られたフレッシュトマトに、炒められたベーコン、長葱、干し海老の入ったチリソースが掛けられ、素揚げされた豆苗中国三つ葉(パクチー)が載る一品。
赤に緑と派手な彩色ながら、組み合わせとしてはいまひとつな感は否めない。
後者は、云わずもがな、牡蠣の牡蠣による牡蠣まみれな一品である。
オイスターにてほどよく味付けされた絹莢(きぬさや)と長葱が添えられ、酒類は前に進むしかない。

そして、完食
外はまだ止む素振りもない

遣らずの雨てんで、神輿ィ据えても少しいただいきましょうかねぇ。

(量)

投稿者 yoshimori : September 15, 2010 11:59 PM
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