September 19, 2010

『九月中席~毛州瀬替え』 (第壱回)

何かに追われる夢から目覚めた気がした午前4時
約束の時刻は一時間後、5時である。

這うように室内を移動して、出掛ける為の準備を整える。
どうにか形だけでもと揃えた後、身一つさえあればよいことに気付き、全てを破棄して逃げるようにドアから出てゆく

薄暗い空の下、闇に包まれた地階へと降りてゆくとそこには、暗灰色のバンがヘッドライトを点滅させながら高回転でのエンジン音を唸らせている。
戦慄を覚えつつも運転席を覗くが無人である。
車窓には自分の名が「様」付きで直書きされており、読んでみれば既に手続きは済んでいるとの内容だった。
文字は赤く粘着性があり、窓枠に少し滴っている。
強く拭いても消えないので、そのままにして座席に乗り込んだ。

何処へゆこう。
いや、目的地は決まっている。
その前に幾つか済ませることがあるのだ。

05:03 神山町
05:18 渋谷区xxx
05:45 新宿区xxx
06:16 麹町
06:42 渋谷区xxx
07:01 南麻布
07:21 六本木
07:48 上大崎
08:00 目黒区xxx
09:00 北区xxx

初めに車両に乗り込んでから、既に四時間が経過している。
その上、未だ東京を脱出していない
焦燥感だけが奥の方で空回りしている。

首都高より東北自動車道へ
慢性的な渋滞が続く。
道中、真新しい事故現場を四つも目撃。
そのどれもが追突であるように見える。
明日は我が身ながら素通りしてゆくしかない。

気が付けば、予想到着時間を三時間も超過していた。

14:00 龍王峡

ここからは少しのトレッキング

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虹見の滝

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龍王神社

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「ハチに注意」

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竪琴の滝

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← むささび橋 0.4km 虹見橋 0.3km →

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龍王峡(左:上流方面・右:下流方面)

さあ地上へと戻ろう。
残された時間は少ないのだ。

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龍王観音

辺りは日暮れてきたようだ。
駆け足でBBQの準備を開始。
釣り人からの白い視線を軽やかに黙殺しながら空騒ぐ。

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鬼怒川温泉オートキャンプ場@鬼怒川温泉滝

闇雲に焼く。
コンロでの炭火だけでは飽き足らず、EPIガスバーナーもダブルで使用。
バーナーのメーカーがそれぞれ異なる為、高さ調節は困難を極める。

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斜めった鉄板に載るリブロース

「まだ居たのか」と吐き棄てる管理人より、猫を追うように追われ、宿へと向かう。

hotel-kinugawa_01.jpg
東急ハーヴェストホテル鬼怒川@鬼怒川温泉大原

ここは何処だろう。
楽園にも見える。
おそらくなのだろう。
狐狸妖怪の類に騙されてもいいから、今はただ眠りに就きたい。

(續く)

投稿者 yoshimori : September 19, 2010 11:59 PM
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