November 03, 2010

『十一月上席~戀と革命の味』

久方振りに、スリランカ人スタッフが切り盛りするほるもん焼きの店を訪れる。
早い時間にも関わらず、続々と客が詰め掛けての大盛況である。
当店、開店当初は精肉店を経営する日本人店長が在籍しており、スリランカ人のスタッフ頭(がしら)はその補佐に過ぎなかったが、やがて店長は営業中に嫁と称した女を連れて他の客と同席して飲食をするようになり、スリランカ頭は期せずしてそのまま店長に昇格し、異国の地にて休みさえも返上して働くようになったという。
流行ってるねぇ。

開店した頃はこんなんじゃなかったですよね」
そう、予約とかしなかったもの。今はふらっと来られないし。

「今は三軒茶屋にも店出してますよ」
支店もあるんだ。

「来たくてもなかなか入れないお客さんも大勢いますから」
そうだね、今日も満席だよね。

「今度、渋谷にもう一店舗出す予定です」
この不景気に、まあ。

景気はいいですよー」
そりゃァそっちだけだよ。しかし店長、景気よく太ったねー。昔はモデルやってたのに。

「フトリマシター、カイテンイライ15キロモフトリマシター」
何で急にカタコト。

「マアオキャクサン、ユックリシテッテクダサイヨー。ア、イラサイマセー」

ビールと農酒(ノンジュ)マッコリを飲んだくれつつ、哀しく死んで引き裂かれた動物の臓物を炭火で火炙りにして喰らうのだ。

(了)


◇和牛ホルモン6種盛り(脂付きしま腸)・・・ 味噌、甘辛、塩、タレ、にんにく醤油、梅だれ
◇シビレ ・・・ 子牛の胸腺肉
◇肝グレンス ・・・ 牛の膵臓
◇上タン
◇ゲタカルビ

投稿者 yoshimori : November 3, 2010 11:59 PM
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