November 04, 2010

『十一月上席~世之介伍拾肆帖』

皇居に然程遠くない街に来ている。
古い木造家屋然とした店内、期せずして遠縁の旧家を訪れた際、上座には付き合いの浅い一族郎党が村社会的な排他性を備えた姿勢で着座しており、心構えもないまま室内に入った刹那に全員から負の力を帯びた視線を全身で浴びてしまい、思わず立ち竦むというようなそんな勢い。(妄想)

其れでもどうにか小上がりで胡坐
亜細亜な女中が注文を取りに来る。

「ごちゅもん、どぞ」
生麦酒

「ふつのと、ひょてんかありますが」
何て?

「ひょてんか、あれ」と壁に貼られた「氷点下」なる商品を指差す。
あー、なるほど、冷えっ冷えなのね。えーと、じゃァそれ。

マイナス2℃に冷やしてあるという。
特に何がどうということもなし。
若者の麦酒離れに危惧してあれこれしてるのだな。
あたしゃァ若者じゃァねぇですからねぇ、此処っから麦酒離れてゆきます。

◇飛露喜(福島・会津)
◇王祿(島根・出雲)
◇田酒(青森・油川)

◇突き出し(蕗、蓮根)
◇秋刀魚げんこつロール ・・・ 秋らしい具の入った炊き込み飯を一尾の焼き秋刀魚を二等分にしてCAD的な精度で包み込み、仕上げには茶漬けに沈めて〆るという一品。一日限定十食。まァ手間のもんですな。

妄想戦にて遠縁勢力との小競り合いが収束しないまま、次の河岸に移動します。

(了)

投稿者 yoshimori : November 4, 2010 11:59 PM
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