December 17, 2010

(工事中)『十二月中席~棟中見廻日記』 (第伍回)

<20101230現在、加筆・訂正・画像準備中>

はやくにんげんになりたい。

06:00 起床
06:30 脈拍・血圧測定(数値失念、低目)

点滴針刺しっぱの為、洗面台での洗髪行為すら困難な状態にある。
頭髪、頭皮が程よい加減にオイリーである。
抜け毛が激しい・・・気がする。

主治医(♀)が来室。

「十九日まで入院(はい)っててもらいます」
日曜日まで?
「そう」
今日は何曜日だっけ。
「金曜日よ」
あと二日か。(ため息)

空腹感こそあれど、動いていない所為か食に対する欲はさほどない。
強いて云えば口寂しい限りである。

「何?」
売店にゆきたいんだけど。
「ひとり歩きはまだ駄目ね」
じゃァ買って来てよ。
「あ、はーい。呼ばれたんで、またね」

女医との妄想劇場も佳境を迎えつつある。

13:30 転出・転入

看護師が車椅子と共に来室。
歳が若い所為か何の説明もなしに、四階中央病棟を「四中(よんちゅう)」、五階西病棟を「五西(ごにし)」と略して呼ぶ。

「はーい、じゃァ四中に引越ししますよー」
あ、お願いします。
「五西は賑やかだったでしょう?」
・・・まァ、そうですね。悲鳴とか、呻き声とか。
「毎日あんな感じですよー」
た、大変っすね。

中央病棟に到着。

「五西ですが、患者さんの転入です」

荷物の受け渡しの如き扱いで、台車代わりの車椅子さえ奪われ、ベッドに放り込まれる。
此処は・・・期せずして前回と同室の上に同床である。
何もかもが懐かしい。

「ただいまーって感じですか?」
そうね、ただいまって感じ。(知らんおっさんしか居らんけどな)

四中の看護師が現れ、ひとり歩きの許可が出たと告げて去ってゆく。
「但し地下の売店まで」という制約付きだが。

早速、ガートル台を引き摺ってエレベータに乗り込むが、古い建物に増築を重ねている為に容易に目的地に辿り着けない。
遠回りをして地下の売店に到着。
何か独特な香りが漂うと気付けば、食堂と霊安室が同じエリアにある様子。
幸か不幸か、現時点でどちらにも用事がない。

塩飴と電解質溶液に似た清涼飲料水を購入。
暇だけは持て余すほどに在るので、戯れに知的欲求を満たそうとクロスワードが専門に掲載された雑誌を探すが置いてないという。
在るのはナンクロ、スケルトン、イラストロジック等等、阿呆が時間を無駄に潰す為だけのインテリジェンスの欠片もない産物ばかりだ。

病室に戻ると、看護師が待ち構えていた。
善いニュースと悪いニュースがあるという。
ひとつは悪い方、採血の結果、貧血症状が見られ、主治医としては出血による鉄分不足を憂慮するので、後で鉄分を錠剤で処方するから朝夕飲めと告げられる。

そして善い方、明日から三食可という。
娯楽のない入院生活、食だけが何よりの福音である。(涙)

(續く)

投稿者 yoshimori : December 17, 2010 11:59 PM
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