December 18, 2010

(工事中)『十二月中席~棟中見廻日記』 (第陸回)

<20101230現在、加筆・訂正・画像準備中>

夢さえ見ていない。

06:00 起床・検温・血圧

食止めは本日で終了。
鉄分を錠剤で補給する予定。

08:00 朝食(五分粥、味噌汁、煮奴、煮浸し、飲み物◇ジョア・ストロベリー)
08:30 服用(鉄化合物製剤フェロミア錠50mg1錠)

食後、ガートル台を連れて個室に向かうも全ブースを占拠されている様子。
すわ一大事と隣接する病棟へ。
職員専用と記された扉を迷いなく開けて踊り込む。
病人用ではないので当然の如く狭い。
ガートル台を斜めに立て掛けながら身体を押し込めて、世の中の全てを呪うしかないのだ。

10:00 視聴(『ケロロ軍曹』 #345)

自前のヘッドフォンのコードが思いの外短く、テレビ画面と自分の顔との距離は僅か10センチ。
絵的によろしくない上に、十五分が限界と悟る。

10:30 点滴(糖質・電解質ポタコールR輸液500ml)

再び個室へ向かう。
病室に戻る際、患者然とした知らない中年男性から指を差され、「あーっ!」と叫ばれる。
違う病棟へ迷い込んだのかと思いきや、持参したタオルをガートル台が五脚のキャスターに絡ませていた為、それを親切心から指摘していただけだった。
言葉で云え、言葉で。

『まあだかい』内田百閒、読了。
そもそも摩阿陀会(まあだかい)とは、百閒還暦の翌年より彼の学生(教え子)らが企画した「まだ死なないのか、百閒のくそじじいは、まあだかい」に対しての百閒側のアンサー、「まあだだよ」という愛ある洒落の効いた会である。
百閒、摩阿陀会十九年目にして初めて欠席し、八十二歳で亡くなる。
百閒が綴る自らの身体が衰えゆく様はなかなかに辛く物悲しく、病室で読む類の本ではないと今更ながらに覚る。

12:00 昼食(全粥、華風焼肉◇豚肉とピーマンとトマト、卵とじ、フルーツ◇キウィ、漬物◇大根と人参)
15:00 点滴(維持液ソルデム3A輸液500ml)
18:00 夕食(全粥、汁物◇竹輪と絹鞘、立田焼き◇鱈?、サラダ◇しめじと人参とレタス、なめ茸)
18:30 服用(鉄化合物製剤フェロミア錠50mg1錠)
21:00 消灯

未明に気絶。

明日には此処を出られるんだ、家に帰れるんだ、家に帰ったら引っ越す準備をするんだ、段差がやたら目立つ家に引っ越すんだ、最低でも72センチくらいあって人にも何にも優しくない家に住むんだ、不意に人が来てもまず上がれないんだ、とげとげなんだ、壁なんだ、空き巣狙いが忍び込んでもため息ついて諦めちゃうんだ、バリアフリーなんかくそくらえだ、バリアだバリア、バリアフルだ、その段差で洗濯物を干してやる、乾いたって乾かなくたって干すんだ、その段差で無理に懸垂とかしてカラダ鍛えてやるんだ、その段差から毎日ダイヴだ、飛び降りだ、足首だって丈夫になるんだ、疲労骨折なんか知るもんか、骨折っても段差と共に暮らすんだ、でも、外から帰って来て扉を開けたら引き上げて欲しいな。(こわれた)

(續く)

投稿者 yoshimori : December 18, 2010 11:59 PM
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