December 29, 2010

『十二月下席~十歳(とお)で神童』

納会に参加している。
職場では病み上がりとして労わられ、「やわらかもの」と「おあま」しか手渡されないという徹底した過保護振りである。
それでも辛うじて缶ビールを一本だけ掠め取り、既に寂しくなった卓上にある食品の中から色物めいた乳製品を端から摘まんでゆくしかないのだ。

エクレアが人数分確保されている飲みの場も珍しい。
とりあえず身の内へと収めて置く。

包装紙にチーズと銘打つからにはそうなんだろうと口に入れると甘い。
しかも激甘である。
表記を眺めるとナッツ入りデザートチーズとあった。

逆に大した事はないのだろうと口にすると、これまた鼻に抜ける刺戟がある。
げに侮れぬは山葵入りチーズである。

このまま職場での忘年会に雪崩れ込むのを止めにして、むさ苦しい男ばかりが集まるこぢんまりとした会に出席すべく池袋より私鉄に乗り換える。

銚子出身という鮮魚専門店の大将が営むという居酒屋の二階へ案内される。
参加者は六名、既に男子と呼ばれるには遠い過去となった年代である。
隙間風に悩まされながらも鰭酒を煽り、造りを喰らい、を突くのだ。

冷酒◇七笑(長野・木曽)
鰭酒(ひれざけ)◇(銘柄失念)
造り◇帆立、海松貝(みるがい)、赤貝
寄せ鍋◇鮭、海老、豆腐、白菜、長葱、椎茸、他

二軒目、タクシー移動を果たした先は西池袋である。
バクハイなる物騒な名の品を全員で頼んでみる。
聞けば、サッポロビールとサントリーウィスキーによる奇跡のコラボレーションという。
コラボとすると聞こえはよいが、ソーダと間違えて混ぜちゃった感が否めないというビール風味のハイボールに相違ない。

この後もう二軒を同じエリアで巡る事になるのだが、それはまた別の話

(了)

投稿者 yoshimori : December 29, 2010 11:59 PM
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