March 12, 2012

『黒馬新聞 北方版』 (第10回)

◇女である。

◇諸事情により南東エリアを徘徊している。
◇雪原と荒野を駆け抜け、見知らぬ野営地に到着。
◇将校と思しき軍服を纏った中年男性(禿げ)より話し掛けられる。
◇禿げが云うには、既に滅び去って久しいカルトな集団の残党を駆除し、仮面を剥いで奪って来いと。
◇まァそういう類の団体には同情も憐憫も含め1ミリもシンパシーは抱かないので、何か報酬があるのであればと能面を被った如き表情にて首を縦に振り、頼まれ事を受注する運びに。
◇要塞内部へ侵入。
◇広い。
◇長い。
◇終わらない。
◇死闘を幾度か乗り越えて、ようやく目当ての品を入手。
◇外で待つ禿げと話してこの仕事を終わらせようと思い彼の姿を探すと、つい先程までは居なかった部下らしき兵士に指示を与えている現場に遭遇。
◇「お前にしか出来ないんだってば。大丈夫だから、先に入った奴がいろいろあれしてくれてるから、頃合いを見てそいつの戦利品を、な?」
◇なるほど、自分は捨て駒でしたかい。
◇まァそれでも生還したよーと報告しに行くと、いきなり敵対する禿げと部下。
◇「今のを聞いていたか!」
◇いや別に騙されたなんて思ってないし、ぶっちゃけどうでもいいから。
◇「問答無用!」と血気盛んに斬り掛かってきやがるふたり。
◇百戦錬磨の自分に勝てるはずもなく、いたずらに命を消費させた屍がふたつ横たわる結果に。
◇将官クラスの装備品はレアだなと思い、兵士の珍しくもない備品は捨て置いて、禿げ死体を丸裸に引ん剥いて、自宅のマネキンに着せるべく、所持品袋にそっとしまうのだった。

(続く)

投稿者 yoshimori : March 12, 2012 11:59 PM
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