January 17, 2006

海老投げハイジャンプ 競技人口85,000人(自称)

桑名、赤い連鶴、23時39分。

しれっと第134回芥川賞候補作になっていた、長編小説『クワイエットルームにようこそ』だったが、本日17日、日本文学振興会より選考発表があった。
松尾スズキ氏、・・・残念ながら受賞ならず。

ぶっちゃけ、読んでませんが。

賞の名となった芥川が門下に入り師事した、夏目漱石の自伝的中篇と謂われている『道草』を数日前に読了。
主人公、健三に自己の半生をなぞらえながら、親類縁者からの容赦のない無心に悩まされるという世知辛い展開となる。
元養父、島田を皮切りに、妻の父、実の姉という連続コンボで無心され、逃げ場もないところへ姉の夫が金貸しに転じ、借金をしないかと持ちかけてくる。
挙句、妻が妊婦というのに夫婦仲は最悪で、無心に訪れる島田が座を辞した後は、必ずひと悶着と精神衛生上よろしくないことこの上ない。
さっぱり楽しめる内容ではないのだが、誰ひとりとして「金貸して」とは言わず、婉曲に、かつロンドン帰りである健三のプライドを程好く刺激して毟り取ってゆく様を見ていると、健三を憐れむよりも寧ろ滑稽にさえ思える。
気が付けば、明治文学を読んでいるのに、声を出して笑っている。
なにこれ、超おもしれえ。

顔が長いと描写される元養父が自宅を訪れる度に、「また来たよ、島田。相変わらず長いのか」とせせら笑い、
相場に手を出して凋落した妻の父が鉄道会社社長になるので入用だと言うが、「お義父さん、それ絶対騙されてるって」としか思えなくて、
姉に小遣いをせびられた上に、駄洒落好きのしょうもない義兄から借金は辞したものの、義兄が養父との手切れ金受け渡し役となって大金を渡したくだりでは、「君ら、グルか」とさえ疑う。

いや、意図は違うかと。

「中学のときの担任が現国教師だったんですけど、かなり偏った人で『自殺した作家の本なんか読むな』って言うんですよ」

それは、日本文学界の八割くらい否定してるな。教科書とか全然駄目じゃん。太宰も芥川も三島も全否定か。

「入水に服毒、そして割腹ですね!」

そこは笑顔で言うところか!


松尾先生の次回作を期待しております。

投稿者 yoshimori : January 17, 2006 11:59 PM | トラックバック
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