April 05, 2011

『番付十両』

諸般の事情から街灯が消え、街が暗い。
闇夜に手探りで辿り着くは港区である。

坂下にある当店、薄明かりの中で鋭意営業中という。
暖簾を潜った中は盛況の様子で小上がりは全て塞がっており、カウンタアに通されて着座。
以後の客奴等は入れず、宜(むべ)なる哉、門前払いである。
まずは天上人の心持ちにて一盞
此処では女将に全てを委ねているので、初めに「一杯目を」と言い渡しておく。

◇飛露喜(福島・会津)

盃と同時に出される突き出し、右より葱饅(ぬた)、酒盗クリームチーズ、蒲鉾と並ぶ。
旬の菜が書かれる黒板がさっぱり読めないので、再び女将に頼るとしよう。
聴けば、本日の造りは「鰹、牡丹海老、平目、xxxx」があるという。(最後の品は失念)
じゃァ前から二ッつとざっくりな注文を告げ、続けて米茄子と海老真蒸(えびしんじょう)を。

一合徳利勝手に空になりたがるので、女将に「次を」と幾度も繋ぐ。

◇寫楽(福島・会津)
◇浅間山(群馬・草津町)
◇雨後の月(広島・呉)
◇呉の土井鉄(広島・呉)

焼いたの香が鼻腔に入って来やがるので、女将にそう云って運ばせる。
酢味噌、山葵醤油、岩塩、檸檬で萬遍無く食す。

程好い加減で坂下の店を引き上げ、で移動。
気が付けば二軒目にて計十四杯もやっつけてたという或る火曜の夜の出来事

(了)

投稿者 yoshimori : April 5, 2011 11:59 PM
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