January 31, 2011

◆『根多出しの功罪』

えェ、お寒ぅ御座ィますな。
本日ァ新宿での寄席でして、寄席と申しましても定席じゃァござんせんで、所謂「ホール落語」で御座ィます。
前売は完売なんてんで、会場は大入りの様子でござんす。

通り掛りました当日券窓口では「大人二枚」と仰る肆伍拾(40,50)代と思しき勤め人な方々に「一枚しかありません」との返しなんてんで、此のお二方ァ入るのをお諦めなさるのかと思いきや、「終わるの九時過ぎ? じゃ後で」と、年長らしき方は手前の分の木戸銭を払いますてぇとさっさと入場しちまいやした。
何ですか格差社会てんですかねぇ、残された方は何処で時間を潰すてんですかねぇ。

『第553回 紀伊國屋寄席』
@新宿・紀伊國屋ホール

十八時半からの開演なんですが、寄席らしく前座は其れより少ぅし前に高座に上がります。

春風亭朝呂久◆笊屋

サゲ:
「あっしは旦那を担いでおります」

柳亭小痴楽◆浮世床

「小さな痴漢を楽しむと書いて小痴楽と申します」
「今日、JR新宿駅から歩いて来たんですが」
「喫煙所で一服してから行こうと思いまして、駅前の喫煙スペースに行ったんですよ」
「そしたら、こんな耳付けたメイドさんの格好した女の子四人がですね」
「雲○座りしながら煙草吸ってるンですよ」
「こりゃァ凄ぇのを見たなァとまァ眺めてましたら、その中のひとりと目が合いまして」
「『何見てんだゴラァ!』って云うンですよ」
「耳付けたメイド四人が煙草吸いながら雲○座りですよ、そりゃァ見ますわねぇ」
「で、黙ってたら四人が私を取り囲みまして、ワァワァ云うんですよ」
「『黙ってねぇで何か云えよゴラァ!』って云いますから、そんなら云ってやろうじゃねぇかと」
「『どうか許して下さい、ご主人様!』って土下座したら、面白ぇって許してくれました」
「どうにか今日も無傷で此処へ辿り着きました」

柳亭燕路◆だくだく

「気付けば前半に出てくる噺家全員が『柳亭』なんですね」
「一人目が落語芸術協会の柳亭小痴楽さん」
「で、落語協会の私、柳亭燕路。次に上がるのが落語協会副会長、柳亭市馬師匠ですよ」
「わりと地味な亭号だとはおもっていましたが」
「いよいよ柳亭の時代が来たのではないかと」

柳亭市馬◆御神酒徳利

サゲ:
「なァに嬶ァ大明神のお陰」

お仲入りで御座ィます。

柳家権太樓◆笠碁

権太樓師匠、めっきり老けてしまいましたなァ。
白髪が増え目方が減ってそう見えるのでしょうか。
お身体を大事にしていただきたく存じます。

三遊亭小遊三◆味噌蔵

『笑点』でお馴染みの方で御座ィますが、らいぶでは初めてでした。
十年以上前に此の方を夕間暮れに大塚駅前で見掛けた事がありましたが、元々ご近所でらっしゃいましたか、ねおんが光る繁華な街にご用向きがあったのか分かりませんがねぇ。

追い出しが鳴りまして、寒風吹き荒ぶ外へと追いやられます。
つなぎが布海苔なんてぇ「へぎ蕎麦」でも手繰ろうかと店ぇ目指しまして、越後な郷土料理をあて地酒をいただきまさァね。

(了)


◇緑川(新潟・北魚沼)
◇越乃景虎 超辛口(新潟・栃尾)
◇想天坊 大辛口(新潟・長岡三島)

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January 30, 2011

『山城守の縁の地』 (第参回・最終回)

寝覚めの悪い夢に魘(うな)され汗だくで目覚める、午前五時
窓より外を眺めると、横殴りの猛吹雪である。
乗って来た筈の車輌は雪に埋もれ、最早車種の判別すら付かない。

体調は幾らか恢復の兆しを見せ始め、せめて源泉掛け流しと謳う湯に浸かりたいとまで思うに至り、朝風呂を当座の目標と定め、最終日にして漸(ようや)く湯治らしい旅が始まる。

夜半に開放される大浴場よりは幾分か手狭な朝仕様の温泉施設のみ利用の時間帯ではあったが、それでも吹雪の下の露天の湯船を満喫し、湯上りに少し横になると即座に昏倒
何処が恢復なのかと周囲から訝(いぶか)しげられながらも、朝餉の膳が整うまでは昏睡を止めないのだ。

やがて朝餉の会場へと連行され着座し本能的に「和」な食材だけを選び抜いて順々に摂取してゆく。
食後の茶を啜るや否や部屋へと舞い戻り再び蒲団の海へとダイヴしチェックアウトまで昏々と深く深く眠るのである。

時間である。
宿の女中と下男らに別れを告げ、一寸先も雪景色というホワイトアウト化した外界を窓の外に眺めながらも、瞼を閉じれば直ぐに睡魔は迎えに来るのである。

気が付けば渋谷区の路上である。
送迎を成し遂げた車輌は既に目の前より姿を消している。
自宅を目指す疲弊し切ったこの身に舞い落ちてきたのは、都内に降る微塵な粉雪だった。

(了)

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January 29, 2011

(工事中)『山城守の縁の地』 (第弐回)

<20100131現在、加筆・訂正・画像準備中>

真夜中に路上で拉致られ、目を覚ますとそこは一面白銀世界という午前三時に少し前。
温泉療治と云うと聞こえはいいが、全ては意思の弱さと流され易さレーベルの極北である。
浮かれきぶん送迎付き楽々雪山温泉ツアーの筈が、絶不調にて人との会話すら十秒さえ続かないという病みっぷりに周囲は呆れ返るばかりだ。
あまつさえ可能性のひとつとしては、流行性感冒の保菌者である疑いも棄てきれない。
それでも、動かないカラダに鞭打ち着々と準備を進めるしかないのだ。

(画像準備中)
セントレジャー舞子スノーリゾート@新潟・南魚沼

少しの仮眠を幾度か重ねて目覚めた午前七時
事態は一向に好転せず、軽食すら口にできないまま、液体だけが頼りと覚る。

八時半、四人乗りの乗り物に乗っかり、頂上へと荷物の如く搬送される。
この空をゆく乗り物に見知らぬ人と同乗し、一時的とはいえ期せずして運命共同体となるのもまた世の習いである。

(画像準備中)
たぶん八海山とかその辺の山系

さァ数年振りの雪面滑走である。
しかもゲレンデのコンディションは奇跡的に素晴しいというのに、板を履いた自分は絶不調で下降の一途を辿るしか道はないのに、シュプールを描く方向はこの雪山の下りしか為り得ないのだ等という分かったような分からないような泣き言を呪詛に変えつつ踏み出す第一歩。
その数秒後、何か右足に違和感を感じ、路肩に寄せて停止。
足許を確認すると、右足の踵を固定するバインディングが長年の使用による劣化の為、腐食破損しており、既に修復不可能な状態であると気付く。

・・・神は私に試練を与えているのだ、たぶんきっとそうかも

全てを諦めたものの、奇跡的な好天に恵まれていると、熱に浮かされたカラダが冷たい外気に晒され思いの外良い心持ちであると自らに言い聞かせ、全長六粁(km)というコースをとりあえず麓まで目指してみる。
今振り返ると、下手すりゃァ骨折の危険もあるというのに、冷静な判断ができていないのが恐ろしい限りである。

兎も角も無事に下山し、再び天空を舞う乗り物に乗り込み、同行者らとの待ち合わせ場所でもある山頂付近のレストランへと舞い戻る。
幾らか喉に良さげなジンジャーエールを頼み、疲労と体力の無さから派生する気絶と昏睡を繰り返しながら過ごすこと二時間
合流した同行者らにバインディング劣化破損の事情を打ち明け、暫定的なそれでいて事実上の引退を高らかに宣言も軽く一笑に付される。
まァ確かに購入後十五年以上、手入れもせずメンテナンスさえ放置した事実は免れまいよ。

十五時に麓で落ち合うとし、同行者と一先ずの決別。
宿泊先への送迎も考慮すると、這ってでも時間内に下山せねばなるまい。

睡魔だけにはやたらに好かれるようで、少しの油断で気絶していることもしばしば。
その為、ただ徒(いたずら)に茫洋(ぼんやり)と過ごすこともなく、昏睡の中で時間だけが過ぎてゆく。
気付けば十四時四十五分である。
屈んだ状態でブーツをバインディングで固定していると、左側の劣化破損にも気付いてしまった。
・・・何も見なかったことにして、そのリスクを顧みず次のシークエンスへ移行するのだ。
ビジネスシーンであれば分岐点にて致命傷を負う道を選択した決定的瞬間である。

それでも無事に下山し、宿へと搬送される。

(画像準備中)
直江兼継公・上杉景勝公縁の宿@六日町

湯治に来た筈が入浴なぞ以ての外の体調となった今はただ昏々と眠るしかなく、午後六時半の夕食まで床に就く
夢現(うつつ)に微睡(まどろ)んでいると、女中、いや仲居が膳の準備が整ったと呼びにやって来る。

(画像準備中)
夕餉の膳(画像で見ると病人食のようだ)

以下は「おしながき」に依る。

一、先付け 短冊イカ 山葵松前
一、お造り 海の幸盛り
一、温物 すき焼き
一、煮物 茶碗蒸し
一、進肴 紅鮭帆立巻、茄子、舞茸、パプリカ
一、強魚 ズワイ蟹片
一、煮物 鰊、蕨、人参、里芋
一、お食事 南魚沼産コシヒカリ
一、汁物 けんちん汁
一、香の物 自家製きざみ漬け
一、果物 オレンジ、パイン

・・・済まぬ、宿の者よ、確実に半分以上は残した
どう頑張ってみても舌が胃腸がカラダが受け付けないのだ。
もう疲れたと次なる酒宴さえも暇(いとま)を貰い、今はただひたすら前ぬめりに床臥せるしかないのだ。

(續く)

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January 28, 2011

『やましろのかみのゆかりのち』 (だい1かい)

さむいですね、いろんないみで。

ぼくのまわりでこんしーずんはつの「いんふるえんざ」がでました。
もちろん「とり」ではなく、にんげんほうめんです。

「ほきんしゃ」はそくざにはいじょされ、みのまわりのびひん(でんわき、きーぼーど、まうすなどてにふれるもの)はとくしゅぶたいにより「きょうせいせんじょう」されます。
このしゅんかんからどうしつのものはぜんいん「ますく」のちゃくようをしいられるのですが、かおのはんぶんもあるますくなので、だれがだれなのかはんべつがつかず、「おすめす」のくべつすらつきません。
にちじょうてきにつけなれないますくをしているせいか、こもるといきでぐあいがわるくなります。

やがて「たいおんけい」がまわってきました。
みみのあなをかっぽじってつっこむたいぷのあれです。
みずからのといきをじゅんかんさせているきがしてねつっぽくなっており、びねつがあるようなこころもちですが、いざけんおんしてみると、せけんてきにいうへいねつもへいねつ、36.2どでした。
そんなはずはない、とばかりになんどもためしましたが、けっかはおなじでした。

それでもじかんのけいかとともに、しょうじょうはあっかしてゆきます。
せきこそでませんが、はつねつ、さむけ、ふらつき、のどのいたみ、はきけ、とじゅんちょうにふえてゆきます。
「いんふるえんざ」かんせんだけはさけたいとおもいましたが、もうこうなるとあらがえません。
なすがままになるしかありません。

まっつぐにかえってゆっくりとやすもうとおもいましたが、まよなかにむかえがくるのをおもいだしました。
せめてそれまでは「かみん」をとおもい、ばんぜんのたいせい(のつもりで)でよこになるのでした。

(つづく)

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January 27, 2011

『村正の菜ッ切り庖丁』

えェ、お寒ぅござんす。
食が細くなって久しいのでは御座ィますが、此の日も何だかはっきりとしねぇ腹持ちなんてんで、ノセ物も思いッ付かねぇ有様で、千代田区をうろうろしておりまして、何か温かけぇもんでもと思案に暮れておりましたら、まァ在りか無しかで云いますと在りなんでしょうな、揚げ立ての厚揚げペイイチと思いまして、地階に在りますてぇ店ェ訪れますと、まず女児さんの後姿が目に入りまして、此りゃァ煙草吸いづれぇなァなんて考えておりましたら、其れどころか一席たりとも空いてねぇ様でして、即座に諦めまして、またぞろつまらねぇ顔見ながら飲んだくれるしかねぇンでさァ。

(了)

投稿者 yoshimori : 12:11 PM | コメント (0)

January 26, 2011

『くらやみのてんし』

なんだかざわざわしますね。

「ぱり」からはじまり、ながれながれて「ぷらは」にきています。
まぁ、きがふれたとおもってきいてやってください。

おそろいのしゅうじんふくをきた「て」のながいひとたちがでむかえてくれますが、あまりこういてきではありません。
よくみるとあたまから「とげ」のはえたひとたちもいます。
きいろいふくをきたひとはあしがのろいようです。
やりすごしたいのもやまやまなのですが、かれらはゆくてをはばむいちにいるため、ふりかかるひのこははらわねばなりません。

すこしとくしゅなちからがあります。
ひらかないとびらのわからない「ぱすこーど」をわりだすくらいはおちゃのこさいさいです。
それだけにしかつかえないちからというのも、なんだかなかんじですが。

おそろしげな「てき」とそうぐうします。
ふぁーすとこんたくとのときは、すごいいきおいでわきをすりぬけられました。
ずいぶんとなめられたものです。

やがててきさんは「だくと」をつたってめのまえにあらわれます。
・・・まぢかでまじまじとみると、こいつは「いのぶた」ににています。
しかも、「ひとくい」のくせにちっともこわくありません。
こいつにくわれるきがしません。
くらやみでひかるめは「おくめ」で、どことなくあいきょうもあります。

むかってくるのでおうせんします。
わりとあっけなくたおれますが、すぐにおきあがるふくつのせいしんをもっています。
めんどうなので、やつよりもはやくうごいておしげもなく「だんがん」をたたきこみます。
なんどかたおれて、なんどかおきあがると、じぶんのいしとはかんけいなく、ふところよりとりだしたとくしゅな「ぼう」でとどめをさしました。

・・・はやくつかえっての、それを。

そして、おんなのひとがとじこめられているへやへのりこんで、せんしゅこうたいです。
つぎは「みず」がいっぱいのえりあにゆくといいます。
・・・もういきぐるしくなってきました。
できればおよぎたくないなとおもいました。

(おわり)

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January 25, 2011

『伍百弐拾伍の水田』

栄町という何処でも在りそうな名の街に来ている。
「まち」なのか「ちょう」なのか皆目分からない。
分からない筈である、誰も其の名を口にする事が無いのだ。
其れは秋葉原駅前を正しく外神田と呼ばないのと同様に。

初めて降りる駅に他との共通項を無理繰りに見い出すとなると、多少少少乱暴なきらいはあるが、当駅前はどうにも松戸感に溢れている。
とは云え、此処は千葉県ではないのだ。

何故この街を訪れたのだろうか。
限り無く曖昧な記憶を辿ってみると、始まりは池袋だった、と思う。
がしかし、よくよく調べてみると目指す店は池袋ではなかった。
自助努力では動かし難い理由にて、池袋より接続した線に乗り換えて運ばれた先に、約束の地があるという。

何よりもまず乗っている山手線外回りである。
此の儘池袋に辿り着く為には、ほぼ一周しなければならない。
そういう電車利用は嫌いではないが、都会に暮らす現代人としては愚かな行為である。
二秒ばかりの熟考の後、池袋にゆく必要はないと気付く。

以上の経緯に拠って、ダニエル・リカーリが唄う「ふたりの天使」を髣髴とさせる名の駅で乗り換え、件の栄町に辿り着いたという訳である。

其れにしても此の松戸感、着いた早早に帰る電車の時間を憂うのも松戸感の成せる業であろう。

(了)

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January 24, 2011

"a pool of highly corrosive black acid"

The desire is won in Kilimanjaro.

"Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life"
(2003/Paramount Pictures/117)

Director;
Jan de Bont
Starring;
Angelina Jolie as Lara Croft
Gerard Butler as Terry Sheridan
Ciarán Hinds as Jonathan Reiss
Christopher Barrie as Hillary
Noah Taylor as Bryce
Djimon Hounsou as Kosa
Til Schweiger as Sean
Simon Yam as Chen Lo
Terence Yin as Xien

...Everyone looks like idiots.

(End)

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January 23, 2011

(除霊中)『四十一歳からの悪魔祓い』

<20110124現在、祈祷・御祓い・画像除霊中>

(画像除霊中)
"ROCKER'S HIGH!"

犬と聖書
六ヶ所村ズ
三文ロック
The B.B.Boogie
ザ・ブリーフ☆メン
オーメンマグマ

OPEN 17:30
START 18:00
ADV ¥1500
DOOR ¥2000
@YOTSUYA Outbreak

(霊)

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January 22, 2011

『なかまるやまのにっき』

きょうは「めぐろく」のみなみがわにきています。

めざしたえきのぷらっとほーむにおりますが、こうじちゅうのためか「かなあみ」がはりめぐらされており、まるで「かせつ」のりんじほーむのようです。
かいさつはひとつしかないようですが、えきまえにはめにつくものはとくにありません。
ちかくには「ほとけ」となづけられたまっこうくさいとおりがあるだけです。
すこしうすらさむいきむちで、こくないでただひとつとよばれるせんもんてんをめざします。

がいかんは「じゆうがおか」にでもありそうなかふぇーなかんじです。
なかは「ふれんちないず」された「されおつ」ないんしょうでした。
なぜか「のら・じょーんず」がえんどれすりぴーとです。
ここのひとたちは、それぞれこころにやまいをかかえているのかな。

すたっふからてわたされためにゅーをひらきます。
あまみおんりーかとおもいきやおもいのほか、びーるの「あて」にもなるそざいもありました。
てのふるえをとめるために、じょうみゃくにあるこをるをちゅうにゅうしようとおもいます。
めきしこさんの「ころな」をいただきます。

(がぞうじゅんびちゅう)
えびとずっきーに

むかれた「えび」はおりーぶおいるとしおであじつけられ、「いたりあん」なふうみでした。
からめられた「ずっきーに」は、けずりとられた「かんなくず」のようにうすくほそいです。
わきには「ふれっしゅとまと」がかくぎりになってそえられています。
これは、びーるがすすみますね。

かんしょくし、しはらいをすませ、みせをでました。
おもてはひとのけはいがしません。
とおりには、ねこのこいっぴきさえいません。
こうじげんばよりときおりきかいおんがひびきます。
さむぞらをみあげ、まふらーをまきなおし、きたみちをひきかえすのでした。

(おわり)

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January 21, 2011

(工事中)『房総沖の鐵(くろがね)』

<20110124現在、加筆・訂正・画像準備中>

流れ流れて神楽坂へと辿り着く。
西新宿「いか」を専門に取り扱う本店があり、其の新店舗が此処神楽坂で営業を始めたという。
架電してみるのだが、既に満席である上に、二十一時を廻っても空く気配は無いとの素気(すげ)無い回答。
不逞腐れて途方に暮れていると、さっき会話した店員の声にて着信があり、たった今席が空いたというので、気紛れな性悪女に振り回される情けない心持ちで、それでもいそいそと向かってみるのだ。

外観は、とてもじゃないが室内で烏賊や鮮魚が回遊しているとは思えない造りの硝子張りビルヂングである。
一歩店内に足を踏み入れると、其の実活気のある大衆居酒屋に他ならない。
まずは一献と冷酒を。

<冷酒>
◇加賀鳶(石川)
◇大那(栃木)
◇菊姫(石川)

<突き出し>
◇煮烏賊の生姜添え

今日の目玉は活き槍烏賊という。
大中小とあり、小でも充分な大きさとの説明が付く。
じゃァ其れを一パイ貰おうか。

程無くしてひとりの従業員が現れ、少し重みのある棒状の何かを丁寧に運ぶが如き手付きの両の手で、活きた槍烏賊一パイを此方に見えるように突き付け、
「今日のはこれです。今から捌きますから」
と足早に板場へ連れてゆく。
其の瞬間より脳内では「ドナドナ」が流れ出し、妄想涙は止まらないのである。

やがて運ばれて来る、幾つか鮮魚とうちの「いか子」の変わり果てた姿。(涙)

(画像準備中)
<造り> ※十二時の方向より逆時計回りに。
◇金目
◇黒鯥(くろむつ)
◇酢蛸
◇鰺
◇〆鯖
◇槍烏賊・下足 ・・・ 透明感溢るる瑞瑞しい本体と小鉢の中でうねうねと蠢く十本脚
◇海鼠酢

<焼き物>
◇槍烏賊の頭焼き
◇えんざら(くろしびかます)塩焼き ・・・ 深海性、身に脂が載る

<汁物>
◇あら汁

血中の八割が海水になったような心持ちで今陸に上がっているのを恥じる程に海寄りな妄想を抱き水中では不要な衣類を一枚ずつ脱ぎ始めると店員らの制止を振り切って店内に設置されている巨大水槽の底部を目指して作業用の梯子段に手と足を掛けて一段ずつ登り始めるのだ、会計も済まさずに

(未完)

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January 20, 2011

『寒月の鰹節』

『贋作吾輩は猫である』を読んでいる。

当作品は夏目漱石門下であった内田百閒が師をリスペクトしての続編でありながら、堂堂と偽物(ぎぶつ)であると謳っている。
本典に登場する猫の飼い主である「苦沙弥先生」が漱石自身がであるのと同様に、偽典における「五沙弥入道」は矢張り百閒自身と考えるのが自然だろう。

命名の由来としては、「九(苦)」よりも「四(死)」少ない「五」という洒落か。
確かに漱石よりも百閒は遥かに長生きはしたが、当贋作の執筆は無論漱石の死後だったろう。
まァ題名もあれだし、存命中とは考え難いわけだ。(調べる気もなし)

作中、大酒喰らいである五沙弥の食卓には「あて」として様々な品が並ぶ。
未だ半分も読んでいないが、幾つか列記しておく。
「括弧内」が原文からの引用部である。

◇「チーズの海苔巻き」を「醤油」に付ける

まァ此れは宅飲みでのちょいとひと工夫であろう。
麦酒好きの五沙弥にはらしい品である。

◇「葛を入れ生姜を溶かした掻き玉」

掻き玉汁とは、水で溶いた葛粉を汁に入れ、煮立った処へ溶き玉子を流し込みながら掻き雑ぜた吸物
此れは酒前食として五沙弥が来客に宛がった品である。
酒を呑む前に吸物を飲むのだ。

◇「防風の根の油痛め」
物騒な字面の品である。
何故か「炒め」表記ではないのが無意味に暴力的と云えよう。
其の正体は「刺身のつまにつける濱防風」であるという。
ハマボウフウの根とは牛蒡にも似た形状で、作中で食した客が云うには「三つ葉」に似た味という。

◇「麦の沢山混じった御飯」に「鍋に残った汁」を掛け、「煮干し五六匹」を散らし、更に「かますの頭の干物」を載せた品

「残り汁」は「鷄(とり)」「酒」の風味がするという。
酷ぇの喰ってやがると思いきや、此れは自らを「吾輩」と称するアビことアビシニヤに與(あた)える猫飯(ねこまんま)だった。

文庫本をはたと閉じ、何か和的な物を求めて、新宿区内にある地階の店へ。
奇跡的に今宵も空いていると見せ掛け、実は予約席二名席二組分を含めてのひとり着座でぎっちぎちの満席だった。
まずは一献と、大将の選んだ「千代の光(新潟)」を冷やで。

◇葛豆腐

大将の手造りである。
滷汁(にがり)を使わずに葛粉と豆乳で拵えるという。
添えられた花鰹、本山葵と共に醤油を掛けまわしていただく。

続けて「八仙(青森)」を。
ほろ酔い加減で河岸を変え、酔いが首より上に巡るまで、どうにもつまらない顔を眺めながら飲んだくれるしかないのだ。

(了)

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January 19, 2011

『底抜けの酒樽』

四ツ足な一日。

◇猩
発熱している気がしないでもない。
顔も薄らと紅潮している気もする。
微熱と侮っているのだけに、検温する気は毛頭ないのだ。
絵的に分かり易い症状としてのが出てしまうと周囲がざわざわとし始め、最終的には今この場より排除されかねないので無くて幸いである。
とりあえず周囲に対するポーズとして、滋養強壮なドリンクをこれ見よがしに服用しておく。

◇狗
帰宅中、駅ビル内を歩いているとすれ違い様に右の肩を叩かれる。
遂に必殺のネリチャギで敵の脳天を踵でカチ割る瞬間が訪れたのかと戦戦恐恐としていたのだが、振り返れば旧知の先輩である。
再会を祝して飲みの誘いを持ち掛けるも、「これから面接」と断られる。
それでも次の機会を約して解散。
・・・ネリチャギは封印しておこう。

◇猪
常夜鍋(豆腐、白菜、豚ばら肉)と共に純米吟醸をいただく。
やがて物凄い睡魔に襲われ、日付変更前に気絶と相成る。

(了)

投稿者 yoshimori : 11:59 PM | コメント (0)

January 18, 2011

◆『茶屋酒の燗冷まし』

久方振りの東西線でござんす。
本日ァ神楽坂での落語会でさァね。

『第3回 ふじ特選落語会 志らく・菊之丞 二人会〜これが私の十八番だ!』
@神楽坂・音楽の友ホール

此処ァ「くらしっく」音楽演奏専用の箱てぇ話を伺いました。
まァどちらも「古典」なんてんで、ざっくりとした括りですがねぇ。
音響効果を狙ってか天井は高く作られておりまして、観劇向けの斜め構造ではありませんで、後ろになるてぇと高座の師匠方の手元がよく見えません。

入船亭辰じん◆手紙無筆

本編:
本所の叔父は本膳で使う食器類を借りる話を上野にて甥にしておりましたが、其れが手紙の内容と一致するかは別の話で御座ィますな。
サゲ:
「平(ひら)の陰に隠れて分からなかった」

後で知るンですがねぇ、「平」とは「膳」の事だそうで。

塚越孝◆ご案内

「livedoor事件を期にニッポン放送からフジテレビに異動しました、塚越孝でございます」
「私の出囃子は南こうせつさん作曲の『塚ちゃん音頭』といいます」
「出囃子といえば、今日来ているある師匠は、とある事情から出囃子を変えたそうです」
「地方では掛けてたそうですが、東京では今日が初めてだそうで、記念すべき日となりますね」
「・・・皆さん、思ったより反応してませんねー」

古今亭菊之丞◆権助魚

「先日、高崎の方で落語会がありまして」
「尺八漫談のはたのぼるさんと一緒だったんですよ」
「東京から車に乗りまして、一同会場に向かうんですが」
「会場は文化会館、の裏ッ手の原ッぱなんですね」
「此処(会館)で演らせてくれりゃァいいものをねぇと主催者に伺いましたら」
「『うちはずっと青空寄席ですから』って云うんですね」
「で、まァ根多探しの為に近所を散策しましたら、その辺に私の顔写真付きでポスターが貼られてるんで、ちょいと見てみましたら」
「『雨天の場合は文化会館で行います』って書いてあるんですよ」
「じゃァ此処(会館)で演らせてくれよと」
「私ら、雨降ってくれーって祈りましたね」
「・・・降りゃァしませんでしたけど」

立川志らく◆金明竹

前座の柳家まめ緑ねえさん、蓋付きの茶碗を運んで高座に置いてゆきます。

「師匠の談志、今ァ全然声が出ませんで」
「其れを笑って・・・いや、笑っちゃァいませんが、そうしましたら今年ンなって、あたしの声が出なくなりましてねぇ」
「此処に茶なんて置くのは、名人か爺だけですよ、本来は」

本編:
志らく版『金明竹』では、上方訛りの中橋の加賀屋佐吉の使いは、大坂の亜米利加人というぶっ壊れた設定でした。

塚越・志らく・菊之丞◆鼎談

両師匠とも自分の師匠が大変に厳しいというえぴそーどを話しておられます。

塚:
「志らくさんは談志の名前は継がないんですか?」
志:
「あたしは、名前は個人の物と思ってます」
「ジョニー・デップがマーロン・ブランドになったりはしないですよね」
「二代目森繁久彌ですって云われても、お前は違うだろうと」

菊:
「つい二日前の話なんですが」
「私の弟弟子に菊六っていう二ツ目がおりまして」
「うちの師匠の圓菊が現在リハビリ中でして、お見舞いに行ったんですよ」
「そしたら圓菊がですね、菊六に向かって」
「『お前、圓菊の名を継ぐそうじゃないか』って云うんですよ」
「『皆そう云ってるぞ。そしたら、俺ァ菊翁(きくおう)にでもなろうかなァ』」
「って、木久扇(きくおう)はもう居るから」

お仲入りで御座ィます。

古今亭菊之丞◆棒鱈

本編:
「もずのくつばす(百舌の嘴)」
「じゅうにかげち(十二ヶ月)」
「りきゅう(琉球)」

立川志らく◆駱駝(らくだ)

本編:
「らくださん、誰の絵ェ描いてんですか」
「此れか? 此りゃァよ、俺の兄貴分で丁の目の半次っていう人が居るんだ、此れが強くてよォ」
「へぇー、らくださんが強いってんですから、余ッ程強いんですねぇ」
「おうよ、初めは気に入らねぇからやっちゃおうと思ったんだけど、逆にやられちゃってなァ」
「だけど絵に描くくれぇですから、此の人を好きなんでしょうね」
「そうよ、俺ァ此の人大好きだね、で屑屋な、此の大好きな兄貴の絵を買えッ」
「買えったって、らくださん、此れ砂に描いた絵じゃァないですか」
「いいから買えってんだよ、ンの野郎、優しく云ってるうちに」
「・・・分かりましたよ」と屑屋、袖の下に砂を掻い込む仕草をします。
「おゥ屑屋ァ、もっぺん兄貴の顔見たくなったから此処に出せッ」

追い出しとなりまして会場を後に、外ァ寒風吹き荒ぶばかりでござんす。
此の後、蛸、蜂の巣(牛の胃)、白子なんぞを引き裂きつつ口ン中ァ放り込みまして、ひちりあ地葡萄から出来たなんてぇ白葡萄酒をいただきまして、かつての花街の夜ァ更けゆくので御座ィます。

(了)

投稿者 yoshimori : 11:59 PM | コメント (0)

January 17, 2011

『干潟の残滓』

喉の渇きで目覚める。

◇濃
<本日の珈琲>
"Guatemala Finca Aurora"
(グアテマラ・フィンカ・オーロラ)

◇澤
レードルを短いストロークで持つ料理人の姿に匠の技を見る。

◇濾
鉄鍋にどうかと思うほどにを注ぎ入れ、日高昆布を沈めて出汁を取る。
煮立った後、掌経由の絹漉しを我が子を湯に入れるように滑り込ませ、酒を飲りながらまず湯豆腐を。
程好い加減で白菜、長葱を切る傍から放り込み、豚ばら肉を軽く湯掻けば、常夜鍋(じょうやなべ)と名が変わる。
ぽん酢や柚子胡椒でいただき、〆には饂飩を投入。
刻み葱と落とし玉子も忘れない。

◇泥
後は横になって目を閉じて眠るだけなのだ。

(了)


"Alien vs. Predator"
(2004/20th Century Fox/109)

director;
Paul W. S. Anderson
starring;
Sanaa Lathan (Alexa Woods)
Lance Henriksen (Charles Bishop Weyland)
Raoul Bova (Sebastian De Rosa)
Ewen Bremner (Graeme Miller)
Colin Salmon (Maxwell Stafford)

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January 16, 2011

『濱松の損料屋』

箇条書きな日曜

◇神
<本日のソース>
"anchovy(acciuga) all'arrabbiata"
(アンチョビ・アラビアータ)

◇青
落語における「唐茄子(とうなす)」とは「南瓜(かぼちゃ)」を指すのは周知の通りだが、人情噺『唐茄子屋政談』にて兄貴分から声を掛けられた町内の若い衆は、南瓜を売り付けられると知り、江戸っ子気質気取りで突っぱね、
「やだよ唐茄子なんて、がちゃがちゃァじゃねぇや」
と返す。
ここで云う「がちゃがちゃ」が何だか分からずに、その音感だけで可笑しみを拾っていたのだが、実は「轡虫(くつわむし)」の異名であると知る。

◇眞
夕刻、送り出す側と送り出される側の会に出席。
「さよなら」は云わないのだ。
まずは冷酒と「自然郷(福島)」を、続けて河豚鰭酒を、後はずっと熱燗で。
〆鯖、蛸、鱏鰭(えいひれ)唐揚げ、白子ぽん酢、等等。

◇磨
二軒目、紹興酒を「温」で二瓶開けてみる。
目の前には皮蛋豆腐、麻婆豆腐
「大阪Z'GOKツアー」なる企画が持ち上がる。

(了)

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January 15, 2011

『墓荒らしの言い訳』

当日の行動予定を記したメモを発見。
殴り書きの上に走り書きにて難読極まりない。
自分が自分に宛てた筈のメモなのに。

「こうりゃく本をかう、100円くらい」
「ぼう、40cm以下」
「まッシュルーむ&スもーくチーズ、あとbeer」
「くリーニンぐ、せるりるあん」
「ごみやろう」

・・・何となくこなした気がしないでもないが、全てを成し遂げたようなきぶんで凱旋した頃には身も心も疲弊しきっていた。
おっと、今日は店員以外の誰とも口を利いてないぞ。

(了)

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January 14, 2011

『背戸の僧伽藍(せどのそうがらん)』

旧町名を今に伝える町町を徘徊。

◇原
<本日の珈琲>
"Mexico Espana"
(メキシコ・エスパーニャ)

◇籠
公園に来ている。
小生の座る場所とは少し離れたベンチに向かい、やや内股加減な男は皇室行事の参加者のような足取りにて粛粛と歩いている様子。
左右の手に在るのはそれぞれ湯が並並と満たされたカップ麺である。
当初、それは後から来るであろう連れの買い求めたカップ麺と信じていたが、一向にそれらしき人物は現れず、内股男は初めに手首に提げたビニール袋より取り出した草鞋(わらじ)程もある唐揚げだかカツだか分からない揚げ物を二枚平らげ、その間に麺はみるみると伸びてゆくのは知っている筈なのに、更にもう一品の食べ物らしき何かを腹中に収めつつ、それから悠々とまずは「カップヌードルカレーBIG」と書かれた印字面を見せ付けながら飲む様に啜り込み、続けざまに「すみれ札幌味噌」と辛うじて読めるカップをスープまで飲み干すのだ。
麺が伸びちゃうのも承知の上とは、嵩(かさ)増やしなのだろうか。
しかもこの男、麺を啜り込む際のひと息がやたらに長く、麺を噛み切らずに最端まで嚥下したいようで、途中で休みながらも麺は常にスープ海から引き上げられて口中へ伸びており、咀嚼だけの瞬間がまるで存在せず、ひとつの所作が泰然としており、コンビニにゆく途中の坂でビバークするが如き悠久な動作である。

◇柏
公園前にある網元直営店に来ている。
まずは冷酒を。
「十四代(山形)」、「越後の穂高(新潟)」、「瑞兆(神戸・灘)」と続ける。
寒鰤、蛍烏賊、〆鯖、金目粕漬焼き、蟹味噌をいただく。
・・・金目の出来が残念である。
小骨があるのは致し方ないとしても、焼き方が甘いのか水っぽいのだ。
そして、ごめん、ほたるいかはまるで残した。

(了)

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January 13, 2011

『天帝の洒涙雨(さいるいう)』

目黒区に来ている。
前回の手術時に摘出した「あれ」の検査結果を主治医である女医に伺う。

良性でしたよ」
りょ、両性ですか? それはどういう・・・。

「問題無しって事ですよ」
・・・でも、将来が心配です。

「まァそうですね、これで終わりって訳でもないですからね」
・・・そうですか、きっと一生付き合ってゆくんでしょうね。(涙)

「取り合えず今は大丈夫なんですから、じゃァ二年後にまた来て下さい、お大事に、次の方~」

噛み合わない会話も然る事ながら、「二年後に来い」なんて織姫牽牛だったら二回分だなと思いつつ、消毒液にまみれた織姫病み上がりの牽牛はこの先もう逢うこともないのだ、たぶんきっとそうかも。

(了)

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January 12, 2011

『卒塔婆の根付け』

此の日、三軒を梯子した事を告白しよう。

19:00-20:00
一軒目、制服を着た女子四名飲酒喫煙していたようだが、たぶん錯覚だろうと思う、事にした。
「米超食いてぇー」
「米いいじゃーん」
「米喰お、米」
「米、イエーイ」

ってxxかお前ら、いいから表出ろ
とは云わないまま、大人は次の店にゆくのだ。

20:30-21:30
二軒目、大人だけが集う地階の店である。
平生であれば混雑しているのだが、意に反して先客はレコード会社勤務らしき私服の中年が一組。
「部下は要らんなー」
「出世してませんよ、それは」

・・・まァそうね、やる気ないのね、CD売れないもんね。

21:30-25:30
三軒目、本年初である。
此処じゃァ久方振りにお会いする方ばかりで御座ィました。
「止そう、又ァ夢ンなるといけねぇ」
なんてぇ落語「芝濱」のサゲでお暇をいただきまさァね。

(了)

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January 11, 2011

『山胡桃の銃床』

連日の痛飲が祟っての結果だろうか、やたらと眠い一日だった。
何事も億劫であり、数日分の怠惰を一手に担っているようだ。
酒盗(しゅとう)を肴に無濾過な純米吟醸を飲っていると、気絶よりも昏倒が近いと覚る。
ほんの一瞬に過ぎないが、高周波にも似た高域音を右の耳に感じ、徐々に日常から遠ざかってゆく気がした。
束の間に聴覚は失われ、茫洋(ぼんやり)としている間に何となく取り戻す。
原因が疲労なのか逃避なのかは不明だが、やがては三半規管までもが機能しなくなるのかと軽く途惑いもするのだ。
に就くのに多くの理由は要らない。
ただそこに横たわるだけなのだ。

(了)

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January 10, 2011

(工事中)『憂國の至寶』

<20110114現在、加筆・訂正・画像準備中>

やんごとなき理由で自由が丘に来ている。

朝に鮭茶漬けをいただいたきりだったので、何か軽い物でもと店を探す。
見つけたのは、それまで「蒸」しか食したことのなかった「焼」小龍包の店である。
店外に行列こそなかったが、店内盛業の様子。
並んで暫し待つ。

やがて運ばれるそれの食べ方を全く熟知しておらず、無造作に箸で抓んでしまって肉汁を方々へ迸(ほとばし)らせる結果に。
空腹にベルギービールを流し込むと少し酩酊の体となるも上海名物である蒸して焼いたそれを幾つか身の内に収め事無きを得る。

(画像準備中)
やんごとなき大会

寒さに耐え切れず、カフェへ逃げ込む。
やがて迎えが来て、晩餐と相成る。
会場は人任せである。
焼肉と決まったようだ。
入手困難というリブマキ、とも三角を含めがっつりといただき、四ツ足の鳴き声以外全て、煙さえも身に染み渡らせて撤収。

電車の揺れと暖かさが危険と知りながら着座してしまうのもまた人間なのである。

(未完)


<覚書>

『容疑者Xの献身』
湯川学:福山雅治
内海薫:柴咲コウ
草薙俊平:北村一輝
工藤邦明:ダンカン
草野球の監督:リリー・フランキー
花岡靖子:松雪泰子
石神哲哉:堤真一

『IPPONグランプリ 2011開幕戦』
・・・ 小木博明(おぎやはぎ):2011開幕戦勝者

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January 09, 2011

『恍惚の黒犬』

「今週は黒いのが安い」という。
何が黒いかは割愛させてもらうが、店売りでこれかという価格である。
白いだの黒いだの色味はともあれ、まずはとそれとは無関係な冷酒を。

◇八海山(新潟)

菜から肉まで鯨飲馬食と鱈腹いただき、河岸を変える。
移動した先では冷やと共に海産物と農作物をいただく。
食も酒も止まらない。
やがて船長だけが大海原へ大航海と相成り、取り残されたクルーらは年末に録画したという番組リストをザッピングしながらの怠惰にして優雅な気絶となるのだ。

(了)


<覚書>

『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!大晦日年越しスペシャル「絶対に笑ってはいけないスパイ24時」』
(日本テレビ/2010年12月31日放送)

・・・「捕まってはいけないスパイ」における沢村一樹が何処かが痛そうな罰を受けた辺りまで。

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January 08, 2011

"definition of picaresque"

§

"SPUN" (2002)

director;
Jonas Åkerlund

starring;
Jason Schwartzman
Mickey Rourke
Brittany Murphy
Mena Suvari
John Leguizamo
Patrick Fugit
Debbie Harry

...Uh, mmm, A ten-gallon hat has high crown and wide brim.

§

"The Talented Mr. Ripley" (1999)

director;
Anthony Minghella
starring;
Matt Damon
Gwyneth Paltrow
Jude Law

an adaptation from the original by Patricia Highsmith (1955)
Dissipated son of a shipbuilding industry.

(End)

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January 07, 2011

『台屋の星鰈』

神田川沿いの街に来ている。

寒風吹き荒ぶ表を短くない間徘徊するには、幾つかの装備品と超然とした行動力が要る。
上記のどれも持ち合わせていないとすれば、それは愚かな行為である。
そして、愚行を惜しまないどころか愛して止まないのも人間なのだ。

彷徨の果てに辿り着いたのは、一軒の割烹の店
馴染みまでとは云わないが、何度か訪れている。
一階は厨房と一直線のカウンタアのみで、会場には左に二卓、右に一卓あるだけの細長い造りである。
今回は初めて階上へと上げられる。
隣席と右奥の席では怒号に近い盛り上がりを見せており、若造の座る右卓で食器が割れる音が響くと、左卓では初老の男が激しく転ぶというカオスの連鎖状態である。

見ればかつて小学生だった筈の大将の息子が堂堂の体格を持って働いている。
しかし、物腰や面構えは中学生のそれである。

中坊に冷酒と日替わりの四品を頼む。
内訳は造り、焼き物、旬の菜、煮込みである。

カオスは絶頂期に達し、初老の団体が去った後で無機物以外の何かが階段から転げ落ちる震動が反響して、連れが落ちた(であろう)にも関わらずに若造集団に混ざり込み談笑して階下に下りる気配を見せないリーダー格の初老は、若造を向こうに昔話を話し始めたりもして、時流に乗り遅れた気がして何となく居た堪れない自卓ではどういうエネルギヰが加わってそうなったか不明な壁に穿った穴を眺めながら故事来歴を妄想するという不健全な酒宴となり、それでも誰の身にも等しく夜は更けてゆくのだ。

(了)

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January 06, 2011

『薬研堀の骨牌(やげんぼりのこっぱい)』

かつて十年住まった豊島区に来ている。

当時団体で利用した履歴の残る目指した店が満席にて門前払いされてしまい、致し方なく近隣を徘徊。
地階にある店の空席を確保し、着座してみれば先客は数える程度しか居ない。
件の店の賑わいを奇跡と思うか企業努力と思うかは、現在では不案内な土地故に個人の判断に委ねるしかないのだ。

まずはと河豚鰭酒をいただく。
鰭の沈んだ燗酒を運ぶ男性従業員の手付きが危なっかしい、どころか陶器の杯と蓋と受け皿がかちゃかちゃかちゃかちゃか音を立てる程の揺れである。
挙句、止せばいいのに酒気飛ばしに燐寸(マッチ)を擦るのである。
実際には飛ばなかったが、擦った燐寸の燃えた頭の行方が気になってしまい、一挙手一投足に目が離せない。
離せないが故に会話も途切れがちである。
ひと通りの所作を終えた震える従業員はよれよれと立ち上がり、盆に下げるべく器類を載せ、やがて去ってゆくのだが、意地悪くもその背中に品名を投げ掛け、注文票を書かせるのも忘れない。

魚(うお)きぶんで焼き、揚げ、生まの順で頼む。

◇鱸かま焼き
◇鰰(はたはた)唐揚げ
◇鰺なめろう

昨日に引き続いて牛筋煮込みを頼んでみる。
今日も今日とて綺麗に裏切られ、大衆居酒屋的な茶系のそれではなく、されおつ割烹系の透明色である。
そういう時流なのだろうかと取り残された自己と世間との間柄を訝(いぶか)しみ、でろでろ煮込まれ系に出会える日を渇望して止まないのである。

(了)

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January 05, 2011

(工事中)『四門九戸の櫛引(しもんくのへのくしひき)」』

<20110112現在、加筆・訂正・画像準備中>

にどっぷりと浸ろうと企み、思いを馳せて参じるは千代田区
地階の店は先客不在にて一番乗りである。
従業員詰め所と呼んでも差し支えはないであろう小上がりへと通される。
暗灰色のロッカーを背に、積み上げられた木製の椅子を眺めながらの宴である。

幾許かの後ろめたさを感じたのか、店主なのか従業員だか不明な腰低めな大将は冷蔵庫より取り出した一升瓶を抱えて現れ、卓上に置くと厨房へと戻って行った。
数杯分は取れるであろう瓶の中身は会津の酒という。
枡売り価格で此れを振舞う心積もりのようである。

◇飛露喜 純米吟醸(福島・会津)
◇黒龍(福井県吉田郡松岡町春日)
◇秋鹿(大阪)

(画像準備中)
造り六点盛り

以下は手前より時計回りに表記。(実は幾つかの種別に自信がない)

◇蛸
◇鮪
◇鰹
◇寒鰤
◇太刀魚
◇鯛

続けて牛筋煮込みを頼む。
想像していた小鉢に入ったでろでろに煮込まれた濃い風味のそれではなく、白く大きな器に透明なスープが浅めに満たされ、斜めに刻まれた葱が彩りを添えるという体裁の異なる品である。
期待値が塩味全開だった為か、幾ばくの物足りなさもなかったが、それはそれでと喰い上げて次の河岸へと移動するのだ。

(未完)

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January 04, 2011

『無簧の篳篥(むこうのひちりき)』

さほど混雑もない山手線に乗り込む午前八時
世間は未だ休暇中である一部の輩を世に放ってはいない。

やがて車両は新宿駅へ到着し、通常通りに扉を開けて乗客を吐き出しては受け入れるのだが、発車間際に耳に慣れない吹奏楽器の音が聞こえた気がした。
それまで文庫本に落としていた視線を上げると、目に慣れない物体が目の前を通り過ぎてゆく。

泥酔風の面構えをした年齢不詳な男の曖昧且つ微妙な表情が視界に入り、肌が粟立つのが分かった。
男は人の顔の部位だけが刳り貫かれた熊の頭部を被っているのだ。
その造型や着色は幾分か戯画化されており、山野を徘徊するリアルには程遠いのだが、半端なメルヒェンさ加減が無用な恐怖を醸し出す

それよりも一瞬だけ視界に入った、男の所持する細く長い物体の正体を確認せねばなるまい。
彼の登場前に笛らしき音が聞こえたとしても、それは男の所持品とは限らないのだ。
何故なら実際に吹く姿を見ていないのだから。

間の悪い事に男は赤いコートを脱ぐと座席の端に座り、コートで身体を包み込むように巻くと寝に入ってしまう。
これでは笛か笛以外の何かか目視できない
今は目を閉じて大人しくしてると見えても、ゆくゆくは油断ができない。
笛のようなものはソプラノリコーダー的な大きさだったような気もする。
アルト級になると、鈍器に為り得るかも知れない。
不意に笛攻撃を受けても、膝に置いた鞄で防げるだろう。
しかし、そんな不測の事態が発生した際には柔軟に対処できるだろうか。
取り乱した他の乗客からが我先に逃げようと退路を塞ぐかもしれない。
むざむざとやられるよりも先にやっつけた方がよいだろうか。
戦いにおいてはやはり先制が有利だろう。
攻撃は最大の防御なのだ。
いや、あれに何かを仕掛けるのは全く気が進まないし、むしろ避けたい。
ていうか、このささくれだったきぶんをどうしてくれようか

等等と悶悶としている間に降りるべき駅に到着したので、後は任せたと同じ車両に乗っていた見知らぬ乗客らを心で励まし、揚揚と改札を抜けて既に対岸の火事となった男VS乗客らの行く末を何となく案じ、今はただあの物体が楽器である事を望んで止まないのだ。

(了)

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January 03, 2011

『眉月の酒器(びげつのしゅき)』

東京に戻る日。
午前中には発とうと仕度を始める。

最寄りよりもひとつだけ東京寄りの駅まで車両にて移動。
道中車窓から目にしたのは、「業者並に多量のトロ函を台車で運搬する腰の曲がった老婆」と「駅前通りに銭湯と思いきや実は焼き場の煙突」という地方行政における負の遺産が凝縮されたかの如き悲哀漂う風景である。

11:07 xx はくたか9号
13:02 越後湯沢 Maxとき324号
14:20 東京

東京駅から乗り換えた中央線の向かいに座るぐるぐるパーマネントを載せた髭面の若造は隣に座る女子に対し、自らのアピールに余念がない。

「高円寺に住んでるんだ」
「そう」
「じゃァさ、xxって通り知ってる?」
「知らない」
「知らない? あまり出歩かないの?」
「別に」
「その通りに沖縄料理の店があるんだけどね、俺そこで働いてっからさ、今度遊びに来てよ」
「沖縄?」
「そう、xxって店」
「? も一回云って」
「xxだってば」
「? どんな字書くの、それ」

嗚呼それなら知ってる行った事があると云ったのは若造の隣に座る女子ではなく、自分の胸中でのみ響いた軋みに過ぎない。
素っ気無い女子の受け答えから滲み出る「たぶんきっと行かないから」オーラを肌で感じながら、家路を急ぐのだ。

(了)

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January 02, 2011

『丹塗りの小太刀』

母の実家を訪れる、飲んだくれる為に。

◇立山(富山)
◇勝駒(富山)
◇蓬莱(岐阜・飛騨古川)
◇金陵 超辛口(香川)
◇満寿泉 干支レリーフボトル 限定大吟醸(富山・岩瀬)
◇神都麥酒「二軒茶屋餅角屋」(三重・伊勢)

何かの話題で頭の「形」の話になった。
妊婦も同席しており、乳児をうつ伏せにすると後頭部が潰れずに「美しい球形」になるというが、窒息の危険もあるからそんな見た目の良さなんか目指してもねぇとかそういう展開かと思いきや、そこで母の衝撃的な発言である。

「わたし、ああいう頭嫌い」

「ああいう頭」とは世間で云う所の「美しい球形」を指す。
・・・ちなみに私は「絶壁」である。
しかも極度に気にしているが為、長髪とパーマネントを止められないでいるのだ。

・・・お前の造り出した悲劇の改造人間か、俺は!(涙)

(了)


<覚書>

『外国人が見た禁断の京都』"Forbidden Kyoto" (NHKワールドプレミアム、NHK BS1)
「芸妓誕生」"A Geisha is Born"
・・・ 御座敷遊び「とらとら」は屏風の脇より手前に現れる様式と知る。

『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ2』"Star Wars: Clone Wars" (Cartoon Network)
第19話「コルサント炎上」"The Zillo Beast Strikes Back"

『名探偵モンク7』(2009/USA Network, NHK BS2)
第6話「ブチ切れナタリー」 "Mr. MONK and the Critic"
第7話「ブードゥーの呪い」 "Mr. MONK and the Voodoo Curse"
第8話「昨日の敵は今日の友」 "Mr. MONK Goes to Group Therapy"
第9話「びっくりパーティー」 "Happy Birthday, Mr. MONK"
第10話「ナタリーVSシャローナ」 "Mr. MONK and Sharona"

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January 01, 2011

『石欅の木蔭』

先年中はいろいろと。
今年もあれあれとひとつ。

・・・暇だ。
帰省する予定はなかったが、気紛れに郷里を目指す。

18:12 東京 Maxとき341号
19:39 越後湯沢 はくたか24号

21時半過ぎに最寄り駅に到着。
新潟で見た降る雪、地元では雨に変わりつつある。

家人に問うと正月的な品は何ひとつ無いという。
食卓には明太子と焼き牡蠣、とろろ昆布が並ぶ。
魚卵と二枚貝、昆布も加えるとまァ目出度くなくもない。

ってもう寝るしかないじゃん。
今年もよろしゅう。

(了)


<覚書>

『代議士秘書の犯罪』
(1990/TBS月曜ドラマスペシャル/114)
演出:佐藤健光
脚本:清水有生
音楽:タブラトゥーラ
出演:
タモリ(安田第一秘書)
藤井郁弥(北村第二秘書)
ハナ肇(拝島後援会長)
大滝秀治(二連木代議士) ・・・ 秀治、この役作りは完璧だな。

『名探偵モンク7』 "MONK" (2009/USA Network, NHK BS2)
第3話「モンクは宇宙人?」 "Mr. MONK and the UFO"
第4話「そっくりさんは殺し屋」 "Mr. MONK is Someone Else"
第5話「証言台は針のむしろ」 "Mr. MONK Takes the Stand"

(改題)『楡の木陰』

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