November 30, 2010

『十一月下席(千龝樂)~神坐の窟(しんざのいわや)』

思い通りにゆかない事もある。

<白神>

前売は既に完売、当日券は13枚しかないというので下記津軽三味線の会を諦める。

『Instrumental unit 津軽Vol.3』
@千代田区一番町・いきいきプラザ一番町カスケードホール
出演◆鳴海昭仁(篠笛・津軽三味線)

<土蔵>

千代田区にある地ビールな店へ。
本日の酒と肴。

◇エチゴビール@新潟「ビアブロンド」 ・・・ ラガーな感じ。
◇サンクトガーレン@神奈川・厚木「アンバーエール」 ・・・ 穀物系発酵感がある。
◆江戸菜スティック ・・・ 千葉にて酵素栽培された青梗菜。しゃっきり生食。
◆鶏炙り ・・・ 筑波山麓産。
◇志賀高原ビール@長野「ペールエール」
◇タッチダウンビール@山梨・萌木の村「アルト<限定ビール>」 ・・・ ルビー色ながらパンチなし。
◇伊勢角屋麦酒@三重・伊勢「ブラウンエール」
◇スワンレイクビール@新潟・天朝閣「IPA<限定ビール>」
◇宮崎ひでじビール@宮崎「ひでじスタウト<限定ビール>」

<花椒>

喫煙する場所を求めて階下へ。
同ビルの一階には中華料理店が入っており、出入口脇には灰皿が置かれている。
店外に立つ店長らしき人物にひと言断り灰皿を使わせてもらう。
今週新規開店したばかりという店長は店内が順調に回転しているので暇らしく自然と話は長くなる。
都内に数多く展開する中華料理店の新事業展開を担当する部署に所属しており、当店はその企画された新事業での一号店になるという。
話は店で取り扱う菜単(メニュー)に及ぶ。

「日本で食べる麻婆豆腐、あれは本物じゃァないね」
あー、やっぱあれっすか、花山椒が入ってないっすからね。

「そうよ、花山椒ね、僕らは花椒(ホアジャオ)っていうけど、あれがないと麻婆って云っちゃ駄目ね」
店長ンとこのはもちろん入ってますよね、花椒

「・・・ごめん、うちのも入ってないよ、だから偽物よー」

入ってねぇのかよ。
まァそういう意味も込めて新事業展開なのだな。

(了)

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November 29, 2010

『十一月下席~一陽来復』

越前の大名朝倉義景織田勢より追われ中国地方へと落ち延び、年始の雑煮は餅搗く暇もなく団子汁

彼とその家臣の子孫は今でも餅の入らない雑煮で新年を迎えるという。

実家の雑煮が団子汁と嘆きの諸氏、努努(ゆめゆめ)貧相と思う事なかれ、豈図(あにはか)らんや朝倉家由緒の家系やも知れぬ。

(了)

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November 28, 2010

『十一月下席~不義ト號ス』

目覚めると十六時。
外出もせずに居続け。
独り言しか発していない。
麺類ばかりを手繰る。
終日無為に過ごす。

(了)

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November 27, 2010

『十一月下席~蒼鷺と争う肘の先』

貸切という。

19時開始と云われて向かった店では既に男子数名が待機しており、どの顔を眺めても知らない御尊面である。
そして、彼らは互いに顔見知りであり同年代であり極親しい間柄であるという。
完全なるアウェーである。

参加者の誰もが生まれも育ちも関東圏と見え、地方出身者である私には入り込む余地が1ミリもない。
そして何より致命的なのは、彼ら彼女らは十も年下であるという事だ。

・・・それでも十時間が経過していた。
気が付けば茨城でのロケ帰りというスタント系の事務所に所属するアクション俳優(♂)とサシで酒を酌み交わしている。
そして話す内容が演劇だ大人計画だ松尾スズキだグループ魂だのと世間的な認知度では隙間産業である。
アクション俳優が松田優作の真似を台詞とアクション付きの長ーい尺でやり始めたのを機に解散と相成る。

時刻は午前五時を過ぎている。
既に外は明るい。
さァ家に帰ろう。

それにしてもだ、この睡魔知らずな状態は何なのだろうか。
若造に対するアンチエイジな意地なのだろうか。
そういう精神論は通用しない筈なのだが、現にこうして起きている。
いずれ代償は払うのだろうと固く信じ、大人しく帰るのだ。

(了)

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November 26, 2010

『十一月下席~入鉄砲に出女』

新宿区を徘徊している。

繁華な小路を通って路地を折れると、公共の場では迂闊には声に出すのも憚(はばか)られる名の風俗店に隣接する店がある。
先客はひとり、知らない御仁である。
開け放たれた扉から足許を吹き抜けてゆく外気は日中の陽気を懐かしむ程に冷えている。
まァ未だ一軒目なので都合三杯で止しておこうか。

山手線に乗って降りても矢張り新宿区である。
更に地下鉄一駅分を歩き、六十年代な名の店に入る。
私より後に続く男女二名の客は知っている顔である。
何故か街で見かけた笑いの取れる風俗店名の話になり、自分が経営している訳でもないのに大賞をいただく。
(諸事情から店名等詳細は割愛するが、先年山中で滑落されて亡くなった作者の代表作、埼玉県某市を舞台とした幼児が主人公の作品)

春日部に本店があればいいのに」
幸手(さって)にあればどうかな」
「近い近い!」

当店では二杯にて差し許す。

新宿区勤務の知人より着信があり、同三丁目にて合流。
この知人の知人が経営陣のひとりという店を目指す。
ややもすると過剰な期待がない訳でもない。

旧態然とした雑居ビルの細く暗い階段を三階分上ると、昼でも治安の悪そうな踊り場に出る。
がしかし、扉を開けるとそこはされおつ内装のダイニングバーである。
当店自ら路地裏ダイニングと日蔭なテイストを打ち出しながらも、他種に比べて脂肪が少ないという近江黒鶏(おうみこっけい)を大きく取り扱う健康志向な店でもある。
が、それはいただかない。
鶏の脂身を気にするよりも、進んでジャンクな揚げ物に手を染めてゆきたい。

ここでは四杯
知人の知人の知人という頼りない繋がりの特権(かどうかは分からないが)で伝票上は僅か二杯となっていた。
ありがてぇかっちけねぇと階段を降り、先の店へと出戻る

件の男女は未だ居るようだ。
男は長電話をしているようで、店外へ出たっきりなかなか戻らない。
余計な関心を持つのは止そう。

ここでは三杯
気が付けば終電が走り去る寸前である。
大人は急がない。
泰然自若と構え、暮れゆく週末を上から目線で眺めるのだ。

(了)

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November 25, 2010

『十一月下席~けんもほろろ』

十一月の第四木曜日、世間ではやれ中秋の名月だのハーヴェストムーンだの収穫祭だの感謝祭だの七面鳥を絞めるだの喰うだのと浮かれ騒いでい・・・ないな別に
まァ静かなものである。
兎角日本人は認知度が低くて男女が浮かれないイベントには悉(ことごと)く冷淡なのだ。

かつてこの"Thanksgiving Day"に招待された記憶が甦る。
恵比寿ガーデンプレイスに隣接する木造一軒家に住まうニュージャージー出身の白人男性は当然アメリカ人で、彼と同居する日本人女子は私の知人の友人というぶっちゃけ赤の他人も甚だしい初対面のガイジン宅に招かれたのである。
白人の名も顔も失念したが、仮にベンジャミンとしておこう。
通称はベンである。

ベンは伝統的な正餐として、腹部にがっつりと詰め物をしてオーヴンでじりじりと焼かれた首のない七面鳥の丸焼きを食卓に並べようとしていた。
生涯初のリアルターキーとの対面である。(向こうは首がないけど)

家長であるベンは見知らぬ訪問者(私)の為に七面鳥を切り分けて皿に盛ると、傍に付き添う彼の嫁候補の日本人はクランベリーソースを添えて供してくれる。
ターキー味に記憶はなく、ただクランベリーの酸味だけは覚えていた。
詰め物の中身はだったろうか、食べ慣れないその味に一口で止めにしたような気もする。

副菜としてマッシュポテトが卓上に用意されていた。
そしてこの肉汁の掛かった潰し芋が大変に美味であり、十年も過ぎ去りし今でもその味を超える存在を私は知らない
何が違うのだろうか、グレイヴィー(肉汁ソース)の有無だろうか。

赤や白のワイン、シャンパン的な液体を飲んでいたとも思う。
気が付けば二階の一室にてベンと映画の話をしていた。
日本で働きながら日本語をそれほど必要としないアメリカ人と、英語が不得手な日本人の話す内容なぞ会話と呼べる代物ではないのは承知している。
それでもトム・クルーズ悪口で盛り上がっていたような記憶がないわけでもないのだ。

帰り際に手土産を渡されたような気もする。
それが何だったのかは今となっては思い出せない。

あれから十年もの歳月が過ぎ、この"Turkey Day"に会した三名とはもう疎遠となってしまったが、毎年十一月の第四木曜日になると思い出すのは、ベンの故郷ニュージャージーで仕込まれた(と思われる)マッシュポテトとグレイヴィーの味である。

大味と揶揄されるアメリカーナ食の中でも、魂が揺さぶられる品があるのだ。

(了)

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November 24, 2010

『十一月下席~焙炉の風土記(ほいろのふどき)』

暮れも押し迫っているというのに、今更感は否めない職場の歓迎会に参加している。
業務上の都合により遅れての参加である。
以下は其の品書き。

◆数の子と雌株の松前漬け
◆刺身屋形船盛(活鮑姿造り、他数種)
◆季節の茶碗蒸し
◆天麩羅(海老、他数種)
◆寒鰤西京焼き
◆牛もつ鍋
◆饂飩
◆杏仁豆冨

私が口にしたのは此の中で、鮑がひと切れ、もつ鍋の野菜と饂飩が数本
他は全て酒類のみである。
たった三十分遅れただけなのに!
と棄て台詞を残してひとり二次会に突入するのだ。

(了)

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November 23, 2010

◆『十一月下席~五丁掛け三丁掛け』

本日ァ午前中の落語会でござんす。
二ツ目のあにさんねえさんらの勉強会なんてんで、何せ木戸銭がお安いもんですから思いの外混むなんてんで、あたしゃァ九時入りを目指しますな。
池袋に九時なんて平日に仕事にゆくようなもんでげす。
それでもまァどうにか間に合いまして、列の後ろに加わりまさァね。

『旗日限定!福袋演芸場 第83回 「勤労感謝の日~働けど働けど・・・」』
@西池袋一丁目・池袋演芸場

開演直前にこみちねえさんの笑い声が響いた後、下座さんが居ないのか三味の音も聞こえずに大胴(おおど=大太鼓)がどんどんどんと鳴り響きましてまずは開口一番

三遊亭粋歌◆金明竹

「師匠の名は歌る多です」
「前座名は歌すみでした」
「墨田区生まれです」

林家たこ平◆時うどん

「根多下ろしなんで上手く出来た試しがありません」

本編:
「お前ンとこ屋号何じゃい。・・・『また来て屋』ってえぇなァそれ、贔屓にしたるわ」
「お前ンとこ屋号何じゃい。・・・『来んとい亭』ってどういうこっちゃ!」

たこ平あにさん、高座返しもめくりも忘れて高座を下りちまいまして、客席からの突っ込みで襦袢とタコ履いたまんまの姿でやり直してました。

春風亭正太郎◆化け物使い

高座に上がったところを前の理由で水差されまして、苦い顔でたこ平あにさんが袖へと下がるのを見送ります。

柳亭こみち◆湯屋番

こみちねえさんが喋り出した刹那、席を立つ初老の方がおりまして、ねえさん思わず「あらどちらへ」なんてぇ返してました。

「粋歌さん、九時に起きたそうです。でも女性ですからね、直ぐには出られません」
「たこ平さん、何の為に正蔵師匠に弟子入りしたのかよく分かりませんね」
「しかも根多出しと根多下ろしを間違えてたみたいですね。此れは根多出しの会です」
「正太郎さんなんて写真撮られちゃいますから。あ、今お笑いになった方、知ってらっしゃいますね」
あたしには何の事か分かりませんでしたが。
「馬吉さんは十二時九分の電車に乗るそうです」
「此れだけ若ぇもんが揃っているのにテープの再生の仕方が誰ひとり分からないんですねぇ」
それで演者の出囃子が鳴らないンですなァ。

金原亭馬吉◆宿屋の富

本編:
「御富~二番~」
「ほーら来ましたよ、あたしの五百両ですよ。まずは辰、辰!」
「辰の~」
「二千!」
「二千~」
「三百!」
「三百~」
「四十!」
「四十~」
「ここで女ァ身請けするか、饂飩喰って寝ちゃうかになるてんだ、いいい一番!」
「七番~」
「あー、此の人倒れちゃったよ」

馬吉あにさん、何をどう途惑いをしたか百番台を二度演ってました。

追い出しとなりまして近くの平和通りにあるなんてぇ中國東北料理の店ェ目指すンですがねぇ、其の店が営業してねぇてんで此れを諦めて別の中華な店に入りまして早い時刻からの飲んだくれでござんす。

程好く伸びた酸辣湯麺と餡がごろごろした水餃子で啤酒をいただきまして、十七時より開くなんてぇ生麦酒専門店の開店を待とうと旧跡巡りと称して街を徘徊します。

・・・どうにか数時間が経過しました。

当店、地階にありまして階段をとんとんとんと下りてゆきますてぇと目の前には生麦酒を注ぐ「たっぷ」が幾つも並びまして、直線的ではない変形した室内には団体のお客様で既に半数の席が埋まっております。

以下は麦酒備忘録で。

◇「オリジナルハウスエールISP」・・・ 池袋サンシャインストリート・ペールエール
◇サンクトガーレン@厚木「ペールエール」
◇鬼伝説@北海道・登別「金鬼ペールエール」 ・・・ アメリカンペールエール
◇イクスピアリ醸造所@千葉「ハーベストムーンIPA」 ・・・ ホップ「ソラチエース」で香り付け
◇COEDOビール@川越「白-Shiro-」 ・・・ 2008モンドセレクション金賞受賞
◇Coronado Brewing "4 Brothers Pale Ale" @San Diego
◇サンクトガーレン「エル・ディアブロ "el Diablo"」 ・・・ "Barley Wine"(麦のワイン)と称しボジョレー・ヌーヴォーと同じ十一月第三木曜日に解禁
◇ベアードビール@静岡 「ライジングサン・ペールエール」

あてに白耳義(べるぎぃ)小振りな揚げ芋(ぽむそてぃ)なんぞいただきまして、宵は愈々(いよいよ)更けゆくので御座ィいます。

(了)

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November 22, 2010

『十一月下席~鐵と鐡と鉄と』

止まらないのは痛飲だけでもあるまいと半ば諦めきぶんで向かう千代田区の一画。
悟りを求めての苦行にも近しい旅の如き行為を巡礼と呼んでしまうのはいささかざっくり感はあるが、手が震えるとか午前中使い物にならないという苦痛の上の見透かされっぱなしの行脚の向く先にはいつだって酒精が待っているのだ。
此の場合の巡礼も行脚も方々を巡り歩くという意味だけは同義であるのだが。

本日の酒と肴

◇獺祭(山口・岩国)、開運(静岡・掛川)

◇突き出し(土手煮=大根、蒟蒻、竹輪麩の八丁味噌煮込み)
◇旬野菜(蕪、金時人参、ばってん茄子)
◇味噌(梅、浅利、雲丹)
◇真子鰈の煮付け
◇牛もつ辛味噌鉄板焼き
◇つくね

明日ァ旗日だしという理由でまた夜は更けてゆくのだ。

(了)

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November 21, 2010

『十一月下席(初日)~海翁好鷗(かいおうこうおう)』

北埼玉での痛飲の果てに辿り着いた一軒のファミレス、時刻は十時を少し過ぎている。
スタッフより手渡される朝メニューと夜のグランドメニューを開くと、当店30周年記念と称したハンバーグとグラタンから成るごってごての品書きが目に入る。
何を血迷ったか、飲んだくれの果てのぶっ壊れた胃の中へと沈めるべくオーダー。
同行者よりやれ愚行だ狂気の沙汰だ四ツ足だと罵られつつも迷いはないのだ。
やがてやって来る品を毛程の後悔もなく完食を遂げ、同席の者より気味悪がられることもしばしば

さァ東京へ帰ろう。
そして、上りの列車は矢張り座れない。
襤褸雑巾の気持ちで自宅に到着する十三時
自室のソファーへ倒れ込むや否や十五時より鍋を始めるという報せが届く。
成る程、神は試練を与えているのだ

以下は買い求めた食材とその産物である。

◇鰹の造り
◇金目鯛と里芋の煮付
◇鶏水炊き
・阿波尾鶏手羽元 ・・・ だし専用
・阿波尾鶏腿正肉
・絹漉豆腐
・白菜
・本しめじ
・生椎茸(出雲産)
・長葱

かけぽん酢でいただく。
大根おろし、柚子胡椒も忘れない。
仕上げは饂飩、〆は雑炊

何故か二十六時まで飲んだくれている。
何かがおかしい、いや、可笑しい事など何もない。
行雲流水、行く雲と流れる水の如しである。
永遠の命を得たという一方的な思い違いだけを糧に日々を過ごすのだ。

(了)

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November 20, 2010

『十一月中席(千龝樂)~第拾捌使徒』

私が上京して既に18年が経つ。
(埼玉に二年間勾留という消せない過去も含むが容赦願う)
油断しまくりでのらくらと過ごしているうち、重箱みたいに歳ばかりを重ねているのだ。
二つ上の諸先輩方が立ち上げた団体が今年で20周年を迎えるという。
招待を受け、一路目指すは北埼玉にある最果ての村である。

13時、池袋駅にて同行者と合流。
現時点にて同行者を含め私は既に鉄道用語で云うところの酔客である。
これより湘南新宿ラインなる名とは裏腹に、うかうかとするとまっつぐと群馬まで連行されるという、降り過ごすと致命的な路線に乗るのだ。
しかも座れないし。

目的地の最果ての村とは、関東では例年最高気温を更新するという不名誉な実績でしか知られていない不毛な土地である。

・・・池袋より発って、約二時間後に到着。
新幹線に乗るとなると、大宮からは十数分で着くという。
誰が乗るもんかという意地だけでの小旅行

北口より俗界に下りてみると、私が棲まっていた頃よりは多少栄えているように見える。
目指す会場は直訳すると「王」の後に「大使」と名付く、ネーミングだけは恐れ多くも畏い大仰な名のホテルの一室。

久方振りの顔触れがほぼ不変であるのも驚異的ではある。
それでも家庭を持つ方々はそれぞれに小さいのが増えている。
十数名の子達が群れているのだが、どういう訳だか男児はひとりしか居ない。
出生率における男児は生物学的に脆いという自然に摂理に従って女児に勝る筈が僅か一名なのだ。
そして、気の毒なほどに父親似の娘を確認してしまい、微笑ましくもなるのだ。

此れが一軒目

二軒目、十数年振りに伺った地階にある店。
名こそ違えど階上にある店も同系列という。
現時点では未だ子達は小上がりに居たようだ。
子達の卓にひとり髭面の後輩が着座しており、大勢の女児の中に大きい友達がひとりという絵的には事件に発展しそうで他人事ながら憂いたりもする。

三軒目、最早子を持つ親達は宿或いはそれぞれの家に帰り、残るのは募られた有志ばかりである。
十数年前に見た記憶のある映像が目前で再現されている。
それは輝かしくも美しい想い出とかそういう綺麗事ではなく、今の私を創り出した飲んだくれ事始(ことはじめ)の瞬間の再来なのだ。

悪い大人の見本市であり、裁きの時がいつまでも訪れないぐっずぐずなカオスであり、色気のないソドムであり硫黄の雨が降らないだけのゴモラでもある。

四軒目、翌日に知る事になるのだが、同行の先輩のひとりは当店にて記憶なく麺を手繰っていたという。
自分の頼んだ丼を床に引っ繰り返した挙句、代わりとばかりに隣席の同級生より麺の入った丼を奪い取り、そのまま完食した事実を覚えていないというのだ。
更に云うと、翌朝の朝食の席にて「俺、麺類なんか食わないし」と宣(のたま)い、其の振る舞いに慣れてる筈の周囲を驚愕させたりもする。

五軒目此のままでは命が危ないと覚り、先輩の家族四人が宿泊する宿の一室へと逃げ込み、部屋の隅で震えながら小動物のように丸まって眠るしかない。
無論、鳴り続けている携帯電話への着信には出ない

願わくば、此の安らかなる楽園へ野に放たれた虎が入って来ない事をただ祈るばかりである。

(了)

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November 19, 2010

『十一月中席~大朋友』

着ぐるみって作ったことある?」
・・・いや、あるなしを答えるのも面倒なくらいに質問自体を否定したい。

「仕事の話だよ」
ああ、アキバ系の?

「いや、レディオステーションの」
ラジオ局って云え。いらっとした今。

79.5メガヘルツのさ」
あー、エフエムさ○たまか。

「社名はちゃんと呼んでやれって」
それを作ったのか。ナッ○ちゃん

「いや、ラ○ットくん
あー、どうせウサギだろ。

「そう! よく分かったな」
読売のあいつと同じじゃんか。

「まァそうなんだけどさ、俺は作れって云われただけなんだから」
何でも屋だな。

「違ぇよ、俺の専門は印刷だよ。着ぐるみなんかやったことねぇし」
じゃァ何だってオファーが来るのさ。

「客から『やれないか』って云われたら、やらせていただきますってのが上からの指示だから」
なるほど。

「で、ネットで探してさ、営業を呼び付けて、3社から見積取ったね」
ふーん。(あくび)

「聞いてる?」
まァ人として、いちおう

「で、発注したら完成品をどうやって運ぶかって話になってさ」
専用の通い箱を作らんとな。

「そうそう、それも作らせたよ、特注で」
えー? それは物流に云えば作ってくれんだよ、手前ぇらでやりいいように運ぶからさ。価格幾らか知らんけど。

「あ、そう、物流でも作れるんだ」
そうだよ、あいつら段ボールいっぱい持ってんじゃん。

「段ボール? いやいや、こっちはxxxxx(専門用語)製だぜ」
それで? この話長いの?

「まァ聞けって。で、箱が仕上がって来て客に見せたら、これ付けろって」
これって何よ。(両手の人差し指を手前から奥に回す仕種を繰り返す)

「何つーの、車輪? キャスター? こう転がすタイプの
そんなに重いか?

「いや、ぶっちゃけ軽い
何だろ、その余計なオプション要求は。台車でいいじゃんか。

何か押したいらしいのよ、先方は
へー。(あくび) その特注箱で納品したの?

「したよ。その前に着ぐるみを分解して梱包するレクチャーも受けたし」
絵的に子供にゃァ見せられんね、首もいで腕もいで脚もいで。着てみた?

「着たよ、俺担当者だもん」
画像とか動画はないの? お前撮ってそう、しかも自分撮りで。

「それは置いて来た」
そうかい。(しゃくれた喋りで)ラジッ○くーん、どすっ(パンチ)、遊んでー、ばきっ(キック)。

「でさ、当然イベントで使うじゃん?」
その為の着ぐるみじゃんか。趣味の手芸じゃァないんだから。

「それで客先から『中の人手配してよ』って云われた、俺印刷屋なのに

あははははは、お前が入ればいいじゃん、あははははは。

(了)

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November 18, 2010

『十一月中席~蔓草寒煙』

まんそうかんえん【蔓草寒煙】
蔓延(はびこ)る草と寂しい煙と。古跡などの荒れ果てたさま。

◆蔓
飯田橋に来ている、正確に云うと富士見二丁目という地名である。
特に空腹でもなかったのだが当地には早い時間に満席になる店があり、通い詰めている程の入店履歴もないのだが目指してみる。
喫煙者なのでカウンタアの端に座らされ、其の疎外感が格別に快適である。

◆草
咥内、詳細を述べると左上奥火傷を負う。
痛い、咀嚼もままならない。(涙)

◆寒
内田百閒集成を読んでいる。
先生の火遊び(と云っても色っぽい方面じゃない)エピソードが大変に面白く、少年的浅慮にて火悪戯が重大な結果を齎(もたら)しかねない状況で右往左往している様が微笑ましいのである、しかも大の大人が。

◆煙
外濠の土手沿いを歩いていると、遊歩道の脇に設置された灰皿が赤い焔と白煙を上げながらごうごうと燃え盛っており、先に百閒先生の話を見知った所為か、其の様を一瞥しただけで無性に可笑しくなり、傍から見ると放火の当人に思われかねないと覚ると、足早に其の場を立ち去るしかないのだ

(了)

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November 17, 2010

◆『十一月中席~小春日和』

本日ァわいのわいのと騒がしい筈の麦酒(びあ)ほをるにて、しっとりと三味線の会でござんす。

『秋の三味線ライブ ~秋の夜長に、三味と麦酒~ 粋曲・柳家小春』
@墨田区両国二丁目

後で知ったンですがねぇ、小春ねえさんは小菊ねえさんと同ンなじ紫朝(しちょう)門下でした。
てこたァ紫文(しもん)師匠とも兄弟弟子でさァね。

会場はほぼ満席でございまして、三味線弾き語り用に誂えた席では小春ねえさんが既に始めております。
以下は十九時半過ぎからの品書と演目の覚書でござんす。

<第壱部>
◇さのさ
◇(新内流し)

◆富士桜高原麦酒ヴァイツェン
◆銀河高原ビール・ヴァイツェン

◇どんどん節 ・・・ 「ハァどんどん」
◇(演目失念) ・・・ 曲中に「紅葉(もみじ)」が登場
◇両国風景 ・・・ 「きなんせなきなんせなきなんせきなんせきなこもち」
◇(演目失念) ・・・ 手前覚書:柳家小半治師匠の音源が残る「音曲吹き寄せ」の中の一曲

◆プレストンエール・ペールエール
◆スワンレイクIPA
◆アウグスビール Toshi's IPA

小春ねえさん、「第壱部終了です」とすてぇじより下りて参ります。
茫(ぼんやり)とした喋りの方でらっしゃいまして、歳ゃァさっぱり分かりませんな。
ねえさんの控え室ていうか席ゃァあたしの隣でした。
あたしゃァ小菊ねえさんの事ばかり尋ねそうな気がしたてんで、八方美人は黙るに限るです。

<第弐部>
◇梅は咲いたか
◇秋の夜

<スタウトマッチング>
◆スワンレイク・インペリアルスタウト
◆ベアードビール島国スタウト
◆いわて蔵ビール・オイスタースタウト ・・・ 三陸牡蠣使用

◇さわぎ
◇深川
◇並木駒形
◇浅草詣り
◇とっちりとん
◇三階節(三界節、さんがいぶし)
◇奴さん ・・・ 「お供は辛いね」
◇活惚(かっぽれ) ・・・ 「沖の暗いのに白帆が見えるあれは紀伊國蜜柑船」
◇大津絵~両国 ・・・ 隅田川川開き

<あんこをる>
◇縁かいな ・・・ 曲中に両国が登場

◇アウグスビール・ブラックビター25x2
◇ミッケラー1000IBU "Mikkeller 1000 IBU" ・・・ IBUとは苦味数値(標準的な苦味は20前後)

三陸か他か産地は分かりゃァしませんが、牡蠣もいただきまして今宵は此の辺でお暇いただきます。

(了)

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November 16, 2010

Novenber 16th, 2010 "The Itchy & Scratchy Show Episode V : Matt Groening Strikes Back"

Left leg'n left foot are fxxking itchy!!!

breakfast ;
banana
soba noodle with fried burdock

Hanzoumon line is not crowded...

lunch ;
fish fly, macaroni gratin croquette, chicken meatball and vegetable curry source

dinner ;
(forgetting)

supper ;
(nothing)

Fxxk the leg'n foot being scratched while it's sleeping!

(End)

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November 15, 2010

『十一月中席~望月蚋(もちづきぶゆ)』

前日、自宅で寛いでいる時、左足の外側僅かながらも刺すような感覚があったのは覚えている。
久し振りに脚を通したナイロン製ジャージの裾に取り付けられたプラスティック製の絞りが敏感な肌に当たって不快なのだろうと軽んじていた。
がしかし、翌朝目覚めてみると数にして四箇所何かに刺されている事に気付くのだ。

何これ!
超痒いし。
既に掻き壊してるし。
何か腫れてるし。
熱持ってるし。
しかも右足にも一箇所あるし。
うきーっ!

昨日出向いた代々木公園から連れて帰って来たと確信。
とりあえず、気が狂わないようにと痒み止めを探す旅に出るのだ。

(了)


memo ;
GC "biohazard 4"
"Normal" mode is stopped and it does over again "Easy" mode.
It plays to "the lift terminal" until 27...

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November 14, 2010

(under construction) Novenber 14th, 2010 "Washington Heights 505"

It is likely to come down with a cold...

breakfast ;
banana
yoğurt
croissant

(under construction)
YOYOGI park where fallen leaf scatters

lunch ;
cracker
cream cheeze
chorizo
anchovies, butter and potatoes
omelette, brown beech mushroom, salsa sauce
(Cut off the end of the lump of brown beech mushrooms and separate mushrooms.
Heat pan and saute them lightly with butter)

(under construction)
"VILLA MARIA PRIVATE BIN Sauvignon Blanc" from New Zealand

(under construction)
"BALDIVIEZO Syrah" from chile

dinner ;
(nothing)

supper ;
soy sauce noodle

2 police officers, a taxi driver and a bald-headed man who are standing in the dark.
What happened to them?

(End)

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November 13, 2010

(工事中)◆『十一月中席~鳩巣の懐紙』

<20101113現在、加筆・訂正・画像準備中>

えェ、毎度ご贔屓様で。
花粉症か分かりませんがねぇ、何かこう鼻がぐずぐずしまして、だるさ加減もよろしくありませんですな。
時候の挨拶も其処其処にしまして、本日は落語会でござんす。

『第三回 日の出寄席 立川志の輔独演会』
@丸の内三丁目・東京国際フォーラム

立川志の彦◆牛褒め

「志の輔の五番弟子、志の彦と申します」
「練馬生まれです」
「恵比寿で独り暮らしを始めました」
「家賃は二万四千円です」
「これがどれくらい安いかというと」
「近所の月極駐車場が『激安!三万円』とあるくらいです」
「大家さんと部屋を契約した時に南京錠を渡されました」
「僕が外出する時はこれをガチャリとロックします」
「帰って来ると鍵で南京錠を開けまして、内側のフックに引っ掛けておきます」
「もし誰かが僕が寝てる間に外から南京錠をガチャリとしましたら」
「僕は自分の部屋に閉じ込められてしまいます」

立川志の輔◆ディアファミリー

旬な「尖閣諸島」、「横浜APEC」の話題から手堅く入りまして、旧式家事に取って代わる家電のマクラに繋いでの持ち根多です。

お仲入りで御座ィます。

松永鉄九郎◆三味線

◇勧進帳
◇佃
◇ちんちりりん
◇大薩摩

立川志の輔◆柳田格之進

「長崎にあるシーボルト記念館に行ってきました」
「そこの館長が面白い方で」
「『あなた志の輔さん? よかったら館内の案内をしましょうか』って云うんですね」
「『坂本龍馬に詳しいのと、シーボルトに詳しいのが居りますが』」
「え? だって、ここシーボルト記念館でしょ。龍馬は別にいいので、シーボルトでお願いします」
「『それは私です』」
「じゃァ龍馬の係は?」
「『それも私です』」

館長、シーボルトが日本地図を国外に持ち出そうとして捕まった事件を総括し、全ての元凶は間宮林蔵の讒言に起因すると云います。
「『間宮、あいつは絶対やってます』」

本編:
「白い黒いがつきました」

これから辛いもんでもそう云って芯から温まろうと、えすにっくな店に目指してゆきます。

え? 何だい、三階は終わるのが早いのかい、そうけぇ、二階はまだいけるのかい、じゃァねえさん悪ィが大将にそう云ってくんねぇな、二階に移るッから支度しといてくんねぇな、悪ィなァ、此れ少ねぇけど取っといてくんねぇ、なァにほんの鼻ッ紙代ぐれぇのもんだな、てな事でとんとんとんと梯子段を下りますてぇと、何と其処には何と何と誰あろう誰あろうと、此・処・が、惜しい処では御座ィますが、続きは明日の今時分喋ってますんで、此処らでひとつ失礼を致します。

(未完)

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November 12, 2010

(工事中)『十一月中席~蝙蝠忌(へんぷくき)』

<20101113現在、加筆・訂正・画像準備中>

通院を理由に平日の昼日中からの各地の催しを荒らしている。

『チーズフェスタ2010』
@神宮前二丁目・ベルサール原宿

世界十数ヶ国より250種類のチーズが集まる祭典、今年で19回目という。
ほう、Jerry餌が貰えるのか。
じゃァそいつをあてに杯一引っ掛けてゆこうか。

会場での番組欄を眺めるとゲストに石黒彩とある。
今となっては顔さえも思い出せないが、其の名だけは記憶にあった。
それにしても、名前の後ろの括弧付きの一文が(元モーニング娘。)ってのはあんまりだとも思う。
元時津風親方的なニュアンスが厭だ。

受付にて四枚綴りの無料引換券を手渡される。
このチケットを片手にアルファベットを冠する四ブースを巡ると、それぞれのチーズが試供されるのだ。

A:ブリック・クレミエールドフランス(白黴)@フランス
B:ダナブルー(青黴)@デンマーク
C:フルーツ&ナッツ(フレッシュ)@オーストラリア
D:おつまみスティックいかくん入り@国産

・・・国産の何が悪いいけないという事もないのだが、無闇にがっかりしたりもする。

合わせもさっぱり考慮せず、赤ワインをグラスに注いでもらおうか。

"MORANDÉ Cabernet Sauvignon" (Chile)

これで朝餉は仕舞ひ
一回退出してしれっと再入場してもまた引換券がもらえてしまうので、昼餉にまたたかりに来ようと思ったりもしたのだが、如何せんチーズしか置いてない上にアルコヲルはそれなりにそれなりなので、大人の諸事情で止して置くのだ。

(未完)


(画像準備中)
lunch ;
hamburger(185g, aurora source), potatoes
"RED STRIPE"

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November 11, 2010

『十一月中席(初日)~虚位白塔(きょゐはくたふ)』

何の因果か病院を転々としている。
其れが為に初診という過程を経なければ次の段階へゆけないという此の牴牾(もどか)しさよ
ねぇ、ドクター。あ、これ何かヘイ、マスターみたい。ヘイ、マスター!(と指を鳴らす)

「そうだね、まァ君が現実逃避する気持ちは分かるとして、とりあえず前を向いて話そうか」
は。

二泊三日コースからやってみる?」
どどどういうことになりますか。

「ここのドクターは、あ、ドクターっていっても僕だけじゃないよ、他にも居るうちの科のドクターを含めて基本的に平日しか居ません
土日は居らんのですか。

「あと祝日もね」
はあ。土日祝と。

「そう、ドクター不在の土日にあなたの身体に万が一何かが起きた場合、適切な処置が即座にできなかったら困るでしょ?」
こここ怖いですね。

「だからね、ここんとこ大事だから聴いて、土日を含めずに、平日に最低でも二泊三日できる日を選んでね、まァ延びちゃう事もあるからそれも含めてねと、はい、次の方ー
ありがとうございました。(涙)

なるほど初診から懇切丁寧だわいとひとり頷いてリノリウムの床を這うような姿勢で歩き、錆と皹(ひび)が目立つというされおつな外観の診察棟を後にするのだ。

(了)

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November 10, 2010

『十一月上席(千龝樂)~ぼんそわーる瀧』

「凄かったねー」
何が。

「え!? 今の見てないの? ほんとに?」
んー、何か窓から外見て騒いでたね

「それを知ってて外を見ないなんて、どんだけ人と世の中に関心がないんだ
いや、昔っから祭りとか好きじゃなくてさ。何か頭悪そうで

「祭りじゃねぇし」
祭りじゃないの? 『凄い光ってる! ほら、動いた! 凄いよ、速いよ!』とか云ってたじゃんか。

「云ったよ。一字一句真似しなくていいから」
神輿じゃん? わっしょい的な

「誰が神輿の話をしとるか。空だよ空。上だよ、分かってる?」
ベタに旅客機かなァ。

「動きがおかしいよ。まっすぐ飛んでないもん」
ヘリコ・プターかも。あ、これ実は正しい文節だぜ。ギリシア語で「螺旋の翼」。螺旋がヘリコでー、翼がプター。ぷたーって、あははは

「ああもう、いらいらするっ! そんなんじゃないし、音も聞こえなかったし」
じゃァさ、今調べるから待ってよ。

「ニュース速報?」
いや、矢追さんに直で電話する

「知り合い!?」
あ、駄目だ、繋がらないや。たぶん殺到してる。厭だね、人にばっかり頼ってて

「お前もだ!」

上記会話の大半は妄想と虚言で構成されているが、実際のニュースでは以下の記事が気になるところだ。

2010年11月7日
浙江省杭州では飛行物体が原因で空港が一時閉鎖されたが、宇宙から来た未確認飛行物体(UFO)かどうかは不明。
新疆ウイグル自治区でも飛行物体が目撃され、ミサイル説まで飛び交っている。

2010年11月8日
カリフォルニア州ロサンゼルス沖沖約50キロ付近では、海面から上空に何らかの飛行物体が一筋の雲をつくりながら動いているのが目撃されている。

矢追氏じゃなくてもいいから、10日における東京上空の飛行物体の情報を求む。

(了)

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November 09, 2010

Novenber 9th, 2010 "a world of nil"

Maybe, nothing's gonna change...

breakfast ;
cracker "PREMIUM"
guacamole / AhuacamOlli (made with ripe avocados)
2 boiled eggs
potato salad

lunch ;
TERIYAKI chicken

dinner ;
noodles in a chicken broth with fried bean sprouts from TAIWAN

supper ;
(nothing)

"God's in his Heaven. All's right with the world."
(C) Robert Browning

(End)

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November 08, 2010

◆『十一月上席~連獅子千年紀』

えェ、毎度ご贔屓様で御座ィます。
其の店の金平(きんぴら)天が好きで通い詰めてる蕎麦屋の親父があたしに云うんですね、「旦那ァすいやせん、今ァ其れ切らしてまして」、冗談云っちゃァいけねぇ、まだお天道さんも高ぇてぇのに店ィ種もんが無ぇなんてぇどの面下げて云ってやがるんでぇッて少ぅし脅かしましたらねぇ、「旦那ァ此れでひとつ勘弁してやってくだせぇ」なんて金平天を出すンですなァ、オイ親父此れが金平ってンじゃァねぇのかいって云いましたら、「へぇ、旦那が天麩羅って仰いましたから天麩羅はございやせんと云いました、此れは代わりと云っちゃァ何ですが牛蒡天(ごぼてん)でございます」、何をぅ天麩羅だァ、そんな間抜けな注文があるけぇ、金平ってンだよ、き・ん・ぴ・ら、中ァ牛蒡で上等じゃァねぇか、これでいいんだよ唐変木、「ああ、きんぴらですかい、なるほどねぇごぼうきんぴら、きんぴらごぼう、はははは」なんて肩で笑いやがるてんで、穴という穴に牛蒡を捩じ込み突っ込んで参りまして、其の足で此処に来ました。

本日は二ツ目さん勉強会でござんす。
トリの志ん吉あにさん、前座より二ツ目昇進なんてんで目出度い席で御座ィます。

『第351回 霜月公演 日本演芸若手研精会 「古今亭志ん吉二ツ目昇進祝いの会」』
@日本橋蛎殻町一丁目・日本橋劇場

入船亭辰じん◆垂乳根

本編:
「酒を飲んだら酔って件の如しか」

三笑亭夢吉◆寄合酒

「皆様、ご無沙汰しております」
「七月公演以来、出させていただいております」
「干されてた訳ではありません」

「わたくしどもの間では毎度毎回年長者が飲代を出す訳ではなく、前座が二ツ目になったとか目出度い時には年下が請け負ったりします」
「・・・今日は美味しいお酒が飲めそうです」

金原亭小駒◆辰巳の辻占

「お後のこみっちゃんは大根多でございますので、あたしの方は軽くご機嫌を伺っておきます」
「こちらの会場は九時完全撤収てんで」
「使用するに当たりまして念書なんぞ書かされたりしましてね」
「時間厳守でございますので、さらっと」

柳亭こみち◆死神

こみちねえさん演ずる死神は例外的に老婆なんですな。

本編:
「あじゃらかもくれん、きゅーらいす、てけ、れっつの、しんきち」

お仲入りで御座ィます。

春風亭一之輔◆化け物使い

客席よりNHK主催の新人演芸大賞を受賞した一之輔あにさんに「おめでとう!」のお声が掛かります。

「志ん吉さんは古今亭の方ですから、それはもう厳しく躾けられてまして」
「あたしらだけで飲みにゆく時には、師匠のお家にゆきますからとちゃんとお断りして(古今亭)志ん五師匠のお家に一度寄ってからご用を伺いまして、それで帰ってたんですよ」
「まァあたしなんて緩い環境で育ってますね、特に春風亭は」
「(入船亭)辰じんさんなんかは、ほいほい付いて来ますけどね」

本編:
「品川の宗匠、橋本光石さんの処に使いに行って来い」
光石宗匠と云やァ前座の辰じんあにさんの大師匠、入船亭扇船師匠の俳号ですな。

三匹目の化け物、のっぺらぼうが女と知った隠居は衣類の繕いの為に針を持たせようとしますが、女は何を思い違いをしたか襟元を掻き合わせて後ずさりします。

「何だお前、勘違いするなよ。こっちに来いてんだよ」
女の手を取って引き寄せ、へっどろっくの形になります。
「お前に顔を書いてやる、じっとしてろ、俺好みの顔にしてやる!」

古今亭志ん坊改メ志ん吉◆鮑熨斗

「一之輔あにさんの後は緊張しますね」
「前座から二ツ目になったと祖母に報告したんですよ」
「そしたら落語の話からNHKの番組の話に飛びまして」
「(こみちねえさん演ずる死神の真似をしながら)『この間テレビで一之輔さんを観たよ』」
「一之輔あにさんは『初天神』を演っておりましてですね」
「『あの団子から垂れる蜜を舐めるのが上手でねぇ。それはそうとあれは誰だっけねぇ、あの、ほら、頭の天辺がこんなんなってる、ねぇ、ほら』」
「祖母はぴろきさんと云いたいんですね」
「八十過ぎの老婆が寄席芸人を知ってるんですから驚きです」

追い出しとなりましてお開きで御座ィます。
向かった先では大信州なんてぇ大仰な酒ぇいただきまして、心ゆくまで芥子ィ擦り付けたなんてぇ練りもんで突っ突きましょうかねぇ。

(了)

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November 07, 2010

(工事中)『十一月上席~釜焚きの力(りき)』

<20101117現在、加筆・訂正・画像準備中>

かつては大盃を「武蔵野」と称したという。
「野見尽くせない」が転じて「飲み尽くせない」となったようで、大きな盃に入った酒精の心持ちを慮れば何を云うかと叱り付けたい衝動にも駆られるのだ。
そしてそれは武蔵野の野ッ原は四方に鄙びた風景であったということでもある。
それではと武蔵野を片手に武蔵野と名の付く地を訪れるとしよう。

京王電鉄の路線でまっつぐ、乗換も降り過ごしもなく到着。
園内に足を踏み入れ、池近くまで歩く。
路上では漫読家(まんどくか)として知られる、私と同年生まれひとつ上の先輩が営業中である。
出し物は『北斗の拳』
何のエピソードが不明だが、ケンシロウ声で「ユリア!」と聞こえた。

早速「武蔵野」を手にしてまず一献。

"MONTAGNE NOIRE Syrah" (カルカッソンヌ・赤)
"IVY BLONDIA Muscat" (産地失念・白)

風に当たろうと池の西端へ。

(画像準備中)
辯財天

参詣も済まして帰り支度を始める。
程好い加減で武蔵野から撤収。

二軒目は和牛希少部位の取扱店である。

◇みすじ ・・・ 肩部分の中程の赤身肉
◇ざぶとん ・・・ 肩部分より肋骨側へと続く肩ロース
◇上たん
◇ほるもん(ぎあら、まるちょう、上みの、れば)
◇和牛切り落とし

他にも何点か頼んで炭火焼いたようだが、午前中からの痛飲が崇り記憶も曖昧である。
気が付けば、キューカンバで風味を付けた韓国焼酎をボトルで頼み、ひとりで飲み干していた。

風車に立ち向かう時代遅れの騎士が脳内にのみ立ちはだかる緑色の巨人を倒すが如く次の敵を目指して荒野を流離うしかないのだ。

(未完)

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November 06, 2010

『十一月上席~笈陸歩(きゅうろっぽ)』

暗渠の上を通す路地沿いにある一軒、暖簾を鼻ッ先で抉じ上げて格子戸を引き開けると其処には板の間の小上がりがあり、卓上には来るべき客を迎えるべく膳部が整っている。
大将ひとりの他誰も居ない様子である。
まずは一献と熱いのを。

突き出し
◇鮪の生姜煮
焼魚
◇喉黒(兵庫・香澄) ・・・ 当節の香澄産は小振りだが、夏季の佐渡産が最上級という。
造り
◇皮剥 ・・・ 裏漉しした肝付きでいただく。
一品
◇九州赤茄子焼き ・・・ 未就学児の二の腕ほどもある長やかなる赫々しい其れは焼かれると横に長い焼魚皿にしんなりと収まる。

他にも煮物を幾つかいただいたが、内容物を失念。
元来繁華な週末とはいえ、隙間を突く形で夕餉を終えて勘定を済ませる。
帰りしな立ち寄った店で玉葱と粒マスタードを求めて家を目指すのだ。

(了)

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November 05, 2010

『十一月上席~呼ばれの白湯(さゆ)』

化調を用いず、牛骨のみでどうにかするという店に来ている。
骨の持ち主は山陰地方にのそのそしている大山黒牛(だいせんくろうし)という。

奥へと続く厨房に面したカウンターのみの店内である。
入店後間もなく受難が訪れる。

先にカウンターに座っている四人組の中のひとりの若造が床に落とした小銭を拾おうとして止まり木ノ下に潜ずり込んで這い回っている為にスタッフよりこちらへどうぞと空グラスの置かれた席にたどり着けないのだ。
そして此奴等、そろいも揃って顔の色が尋常ではない。
石に赤い水性絵の具を塗り付けたような色である。
それぞれが坊主にも近い短髪でよく陽に灼けており、同じ体育会系部所属なのか似たり寄ったりな衣類を身に着けている為に個体の見分けがつかないのだ。

とはいえ、麺専門の店で顔の色が変わる程飲んだくれるとんちきがあるけぇ、とは云わないだけの度量はあるつもりだ。

若造仲間のひとりが後続の客である私に気遣ってか、小銭探しの若造をカウンター下の奥へ奥へと押し込めようと苦心しているが、押し込められた床若造は同僚の悪巫山戯(わるふざけ)と勘繰ったか、半ギレの状態で床から這い出してくるという、どうにも当たり処のない遣る瀬なさ加減である。

そして、此の若造もまた不思議と同じ顔形である。
歳を取るにつれて若造の顔造作の区別が曖昧になっているだけかもしれない。

何か悪い日に当たったようで、胃の中の黒牛さえも遠く思える因州鳥取な店なのだった。

(了)

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November 04, 2010

『十一月上席~世之介伍拾肆帖』

皇居に然程遠くない街に来ている。
古い木造家屋然とした店内、期せずして遠縁の旧家を訪れた際、上座には付き合いの浅い一族郎党が村社会的な排他性を備えた姿勢で着座しており、心構えもないまま室内に入った刹那に全員から負の力を帯びた視線を全身で浴びてしまい、思わず立ち竦むというようなそんな勢い。(妄想)

其れでもどうにか小上がりで胡坐
亜細亜な女中が注文を取りに来る。

「ごちゅもん、どぞ」
生麦酒

「ふつのと、ひょてんかありますが」
何て?

「ひょてんか、あれ」と壁に貼られた「氷点下」なる商品を指差す。
あー、なるほど、冷えっ冷えなのね。えーと、じゃァそれ。

マイナス2℃に冷やしてあるという。
特に何がどうということもなし。
若者の麦酒離れに危惧してあれこれしてるのだな。
あたしゃァ若者じゃァねぇですからねぇ、此処っから麦酒離れてゆきます。

◇飛露喜(福島・会津)
◇王祿(島根・出雲)
◇田酒(青森・油川)

◇突き出し(蕗、蓮根)
◇秋刀魚げんこつロール ・・・ 秋らしい具の入った炊き込み飯を一尾の焼き秋刀魚を二等分にしてCAD的な精度で包み込み、仕上げには茶漬けに沈めて〆るという一品。一日限定十食。まァ手間のもんですな。

妄想戦にて遠縁勢力との小競り合いが収束しないまま、次の河岸に移動します。

(了)

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November 03, 2010

『十一月上席~戀と革命の味』

久方振りに、スリランカ人スタッフが切り盛りするほるもん焼きの店を訪れる。
早い時間にも関わらず、続々と客が詰め掛けての大盛況である。
当店、開店当初は精肉店を経営する日本人店長が在籍しており、スリランカ人のスタッフ頭(がしら)はその補佐に過ぎなかったが、やがて店長は営業中に嫁と称した女を連れて他の客と同席して飲食をするようになり、スリランカ頭は期せずしてそのまま店長に昇格し、異国の地にて休みさえも返上して働くようになったという。
流行ってるねぇ。

開店した頃はこんなんじゃなかったですよね」
そう、予約とかしなかったもの。今はふらっと来られないし。

「今は三軒茶屋にも店出してますよ」
支店もあるんだ。

「来たくてもなかなか入れないお客さんも大勢いますから」
そうだね、今日も満席だよね。

「今度、渋谷にもう一店舗出す予定です」
この不景気に、まあ。

景気はいいですよー」
そりゃァそっちだけだよ。しかし店長、景気よく太ったねー。昔はモデルやってたのに。

「フトリマシター、カイテンイライ15キロモフトリマシター」
何で急にカタコト。

「マアオキャクサン、ユックリシテッテクダサイヨー。ア、イラサイマセー」

ビールと農酒(ノンジュ)マッコリを飲んだくれつつ、哀しく死んで引き裂かれた動物の臓物を炭火で火炙りにして喰らうのだ。

(了)


◇和牛ホルモン6種盛り(脂付きしま腸)・・・ 味噌、甘辛、塩、タレ、にんにく醤油、梅だれ
◇シビレ ・・・ 子牛の胸腺肉
◇肝グレンス ・・・ 牛の膵臓
◇上タン
◇ゲタカルビ

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November 02, 2010

『十一月上席~櫻坂會』

同僚の婚礼祝いと歓迎会が兼ねられている。
が、意外と会費が箆棒(べらぼう)ではないのは幹事の成せる業と信じている。
早めに現地入りした有志を募り、地階にあるアイリッシュパブにてとりあえずと飲んだくれる。
会の開始まで一時間半も与えられてしまうと全てを諦めて散財するしかないのだ。

・HUB ALE 3/4 pint
・THE GLENLIVET and SODA
・HUB ALE 3/4 pint
・HUB ALE 1/2 pint

何だこれ。
これから飲みにゆくというのに何をしているのだ。
しかも、何かに踊らされてメンバーズカードまで作成している始末。
正気とは思えない。

さて、本番である。
制限時間は二時間という。
記憶が曖昧にある中、喰うか喰わぬか別としても品目だけは押さえておこう。

ワイン:
◇タベルネッロ・サンジョヴェーゼ(赤)
◇コレッツォーネ・キャンティ(赤)
◇ボッラ・ソアーヴェ・クラッシコ(白)

前菜:フライドポテト、蛸のカルパッチョ
サラダ:シーザーサラダ
パスタ:
◇明太子クリーム(貝柱)
◇T.B.G(トマト、バジル、ガーリック)
◇ベーコンと彩り野菜のブロッコリーソース
◇茄子のボロネーゼ(ミートソース)
ピッツァ:
◇マルゲリータ
(トマトソース、チーズ、モッツァレラチーズ、フレッシュバジル、ヴァージンオイル)
◇ピカンテ
(トマトソース、チーズ、自家製ソーセージ、オニオン、彩り野菜、ハラペーニョ、鷹の爪、黒胡椒)

逃げるようにひとり豊島区を離れ、別の会を目指すのだ。

(了)

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November 01, 2010

『十一月上席(初日)~婆娑羅』

痛飲、あいや、通院の為に早退する。
東急田園都市線に乗る。
病院に到着。
月が替わったので診察券と共に保険証を提出。
待つ。
文庫本を開く。
二秒で眠くなる。
少し寝てしまう。
スピーカー越しに名前をフルネームで呼ばれる。
診察室の扉を開ける。
くるくる廻る風な椅子に座る。
ドクターの顔色はさっぱり伺えない。
結果発表~、どんどんどんどんどんと。(溜め息)
「えーと、良性です」
なるほど。
良性ながらにも別の病院を紹介され、云われるがままに予約する。
支払いを済ませ、夕闇迫る外へと出る。
へと向かう。
もう二度と此の地は踏むまい。
そそくさと立ち去ろう。
とはいえ、幾分か空腹である。
想い出にでも手繰って帰るとしよう。
歩く。
絵入りの看板が目に付く。
大牟田とある。
何処だ。
九州は福岡の南部という。
患った内臓に豚骨は重い。
が、今日ぐらいはよかろう。
暖簾をくぐる。
頼む。
品が出てくる。
・・・二秒で後悔する。
それでも完食
帰ろう。
もう二度と此の地を踏む事もあるまいと改めて心に誓うのだ。

(了)

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